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PGA・JGTOチャレンジⅠ 2006
亡き父にささげる勝利・中村龍明
勝利を振り返る中村の目からは涙がこぼれる。「父に見せたかった」
実は5月3日、タイガー・ウッズの父アール氏がなくなった日、中村の父・富夫さんも亡くなっていたのだ。ゴルフ場でプレーしていて突然倒れ、そのまま帰らぬ人となってしまった。65歳の若さだった。ずっと自分を応援してきてくれた父の突然の死は、中村にとってショックだったが、周りには普段どおりに振舞っていた。
今日は首位からのスタートだったが、同じ組の小野貴樹が前半すばらしいプレーを見せ、一時は逆転され、2打差をつけられていた。
しかし、「あせりはなかった」。目標の2桁アンダーの10アンダーにスコアを伸ばし、内容は悪くなかった。
13番で転機がやってくる。小野がダブルボギーをたたき、首位に並んだのだ。さらに15番で小野が今度はトリプルボギーで、逆に3打差をつける形になった。これでかえって「早く終わりたいという気持ちやら、なにやら複雑な気持ちになった」ことが影響してか、続く16番でボギーを打ってしまい、2打差になる。
しかし、これで気が引き締まった。次の17番(420ヤード・パー4)、残り165ヤードの第2打を7アイアンで打ち、ピン4mにつけてバーディ。再び3打差として勝利を確実なものにした。
これでチャレンジは99年PRGRカップ(関西)についで2勝目。優勝賞金180万円と「UBS日本ゴルフツアー選手権宍戸ヒルズ」(6/29〜7/2)の出場資格を獲得した。
亡き父に自分の優勝した姿、活躍する姿を見せることが出来なかったという思いが、彼を強くした。これからも父への思いを胸に秘め、チャレンジしつづける。「先が見えてきたので、これからもがんばります」思いは天にも届いたはずだ。