Tournament article
ウッドワンオープン広島ゴルフトーナメント 2007
竹本直哉「次こそは」
3打差で迎えた17番は、得意のフェードボールでフェアウェーど真ん中を捉えると、グリーン奥12メートルのアプローチをチップイン。
最終18番でも5メートルのバーディチャンスをねじ込んだ。
息詰まる接戦の末に単独2位に入り獲得賞金1500万円は賞金ランク14位に浮上して、初のシード権をほぼ手中に収め、その夜は電話が鳴りっ放しだった。
「カッコ良かったよ!」。
「シードおめでとう!」。
「・・・最後は、目がイっちゃってたね」。
さまざまに寄せられた中でもとりわけ嬉しかったのは「すごく面白いゲームだったね」という感想だ。
深いラフが生い茂る難コースでの伸ばし合いは、「めったに出来るもんじゃない」。
確かに勝ったのは片山だが、好戦を繰り広げた竹本もまた、あの日の主役だった。
戦い終えたとき、片山が言ってくれた。
「今日はむちゃくちゃ楽しかったよ!」。
竹本も即座に答えていた。
「僕もです!」。
今年本格参戦2年目。
技術、精神面ともに成長は著しい。
「緊張してくると、ヘッドが上から入りすぎる傾向にあったショットはレベルに下ろせるようになってきている」。
ミスしても、動揺しない。「腐らずに気持ちを切り替え、また前にいけるようになった」。
片山が1番でチップインイーグル。一気に4打差ついたが「もう4打差か、ではなくまだ17ホールもあると思えた」。
最終日は最後まで「負ける気がしなかった」という。
17番でますます気合が入った。
チップインバーディで一瞬見せた、挑みかかるかかるような鋭い目。
どんなピンチにも臆することなく、「このタイトルは絶対に俺のもの」との、熱い思いを切らすことなく18ホールを回りきった。
それでも、やっぱり我に帰って思うことは「片山さんは、一枚も二枚もうわてだったということ」。
当然だ。
相手は3年連続の賞金王。
片やシード入りもまだの選手だ。
「1打差で負けたけど、1打の重みはものすごい。その1打のために、どのくらいの努力が、成長が必要なのか・・・」。
その差を思い知ったからこそ、思う。
「次こそは」。
今週、改めて掴み損ねた頂点を狙っていく。
竹本直哉たけもとなおや
1976年11月25日生まれ、和歌山県出身。
湯浅小学6年生まで地元・湯浅町で過ごしたあと、奈良県の智辯学園中学に進み、卒業後に母で女子プロの茂美さんの進めで単身渡米。
パームスプリングスの公立高校に進むと同時にゴルフを始め、UCサンタバーバラ校ではゴルフ部で活躍。
ジュニア時代のライバルに、2003年全英オープンチャンピオンのベン・カーチスや、成長株のジェイソン・ゴアがいる。
帰国後、すぐにツアープレーヤーを目指し、5度目の挑戦となる今年のファイナルQTで23位にランクイン。ツアー前半戦でほぼ全試合に出場できる権利を獲得した。
得意なクラブはサンドウェッジ。趣味は読書とギター。 身長173センチ、体重65キロ。