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ゴルフ日本シリーズJTカップ 2007

22位タイと低迷中の篠崎紀夫「胸を張って子供たちに会えるよう・・・」

15歳からゴルフを始め、私立千葉経済高校卒業後に本格的にプロを目指した。現在の所属先でもある千葉県の『北谷津ゴルフガーデン』で修行を重ね、丸山茂樹と同期の92年にプロ転向。しかし出場権にも恵まれない時期のほうが長く、ファイナルQTランク3位の資格で参戦する今季は6度目の本格参戦だった。

遠征費どころか、生活費さえ底をつき、妻・美紀さんが「いつか旅行に行こう」といってコツコツと貯めていた「500円貯金」にまで手をつけたこともある。
「一生、勝てないどころかシード権すら取れないかもしれない」。
何度も絶望を味わいながら、試合のない日はレッスン業で食いつなぎ、「いつかマスターズや全英オープン出られる選手になりたい」との夢を胸に、懸命に歩いてきた16年間だった。

9月のANAオープンでプレーオフ5ホールの死闘を制し、長い下積み時代を経てようやく土を踏んだこの舞台。

初日、2日目とも21位、そしてこの日3日目も22位と低迷が続いており、「最後にどうにか赤字(アンダー)にしたい」と意気込むにはワケがある。

レッスン業のかたわらで力を注いできたジュニア育成。
ツアー初優勝をあげてからというもの、連戦続きで子供たちに会うヒマもなかった。
今月27日に、今年も「全国小学校ゴルフ選手権 横尾要カップ」(報知新聞社主催、PGA、JGTO後援)が行われる。
あの石川遼くんが、小学生のころに出ていた。篠崎の教え子たちも大勢、参加する同大会で、今年もまた篠崎は“競技委員”として参加する。
ツアー初優勝をあげたといっても、裏方で謙虚に大会を支えるスタンスは変わらない。

身長162センチの篠崎を“篠プロ”と呼んで慕う子供たちの中には「小学生で、すでに僕より大きい子がたくさんいて・・・」と、苦笑する。
「優勝したら、あいつらもちょっとは尊敬してくれるのかなあ」とポツリとこぼしていたあとで、「でも、やっぱ俺は“篠プロ”のままでいい! それより、子供たちに早く会いたいよ」。
年末に、ようやく子供たちの笑顔が見られるのを楽しみに。
また、胸を張って対面できるよう・・・。
「しかも、最終日は遼と一緒だし!」。
スーパー16歳にまけじと、38歳が今年最後の1日を全力で戦い抜く。

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