Tournament article
マンシングウェアオープンKSBカップ 2007
杉原輝雄「このままくたばりたくないんです」
スタッフが気がついて、「捨てておきます」と手を差し伸べたが静かに首を振った。
「いやいや、私が拾ったんやから・・・」。
さりげなくそう言って、小さく畳んでゴミ箱に捨てた。
本人は、「当たり前のことをしてるだけ」と言うが、そんな姿勢がファンを引きつけてやまないドンの魅力だ。
エントリーするたびに、報道陣に囲まれる。
世界でも例を見ないレギュラーツアーでのエージシュート達成と、自身の記録を破る最年長予選通過への意気込みを聞かれる。
特に今週は、ホストプレーヤーとしての活躍が期待されるが、全長7072ヤードのコースを前にして、とても強気なことは言えそうにもない。
70を下回るスコアで回ることは「今の自分にとって、65で回るくらい至難の業」と杉原は言う。
「415ヤードでも、セカンドでウッドを握らなくちゃならない。寄せてパットで拾って、チャンスを作りたいけれど、なかなかチャンスが作れない。ハーフで49がやっとなんて、お話にならない」と、ひとしきり後ろ向きなコメントを並べたあとで、「だけど、このままくたばりたくないんです」。
無理を承知で偉業に挑む姿が、ギャラリーの共感を呼ぶ。
70歳を目前にして、懸命にクラブを振る杉原を見てすがすがしい気持ちになって、「俺たちも頑張ろう」と満足して帰っていく中高年のギャラリーは多い。
「期待に答えたいですね」。
69歳が、今週も全身全霊でコースに向き合う。