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UBS日本ゴルフツアー選手権 宍戸ヒルズ 2007

髙橋竜彦「連覇達成、というよりも・・・」

いつも春先の成績は良くない。毎年悩まされているアレルギー症状に加え、「早く結果を出さなければ、という焦りで、空回りする」。
コーチの堀尾研仁さんに言わせると、「完璧を求めすぎるのもいけない」という。

ゴルフは、ミスをして当たり前。それを、どうカバーしていくか、というスポーツだ。
しかし周囲から見れば、許されるような曲がり幅も我慢できない。
「思うようなショットが打てないと、何でだろうと原因を追究しすぎる」。
堀尾さんには「もう少し妥協したほうが」と言われるが、そうもいかないのが性格というものだろう。

「自分に期待しすぎてるんですね」と苦笑する。「思うとおりにいかないと、自分で自分に期待を裏切られたような気になって必要以上に悩んでしまう・・・」。

そんな髙橋もひとたび、ここ宍戸ヒルズカントリークラブに来てしまえばまるで別人。

深いラフは入れたら最後。どんなにパワーがある選手でも、グリーンを狙うのは不可能だ。
池やバンカーばかりか、うっそうとした森が空中のハザードを作り出し、プレッシャーをかけてくる。
「とにかくフェアウェーキープは必須だから。余計なことを考える余裕もない」。
それが、逆に良いのだろうか。

先週まで曲がっていたショットが、ふいに真っ直ぐ飛び出したのだが、この感覚は昨年と似ている。
「去年も、この大会から急に調子が良くなったんです」。
再び訪れた吉兆に連覇の期待も膨らむが、髙橋は頑固に首を振る。

「去年のことは、もう済んだこと。連覇のために頑張るんじゃない。この大会がメジャーだから。誰もが取りたいタイトルだから、頑張るんです」。

そして何より、子供たちのためという思いもある。
このオフ、母校の福岡県・大野城市立大野北小学校にスナッグゴルフのコーチングセットを寄贈した。寄贈式のあと、自ら教鞭をとった授業で生き生きと、自分たちの夢を語る子供たちに心動かされ、「来年も、ぜひ優勝のお土産を持って子供たちに会いに来たい」と心に誓ったものだ。

また、先月末には、妻・葉月さんと千葉県・印西市立大森小学校を訪問(=写真)。
同校は、毎年大会週の土曜日に行われる小学生のスナッグゴルフ全国大会の常連校だ。
昨年のこの大会でテレビリポーターを務めた葉月さんが同校を取材したときに、「また来年、応援に行くからね」と約束していた。
今年も地区予選を勝ち抜いて、3年連続3度目の出場を決めたとの知らせを受けて、夫婦揃ってそのお祝いと、激励に駆けつけた。

「子供たちに夢を与える存在でありたい。今年も、子供たちに夢を与えられるようなプレーがしたいんです」。
それが連覇形ならば、何よりの贈り物になる。

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