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フジサンケイクラシック 2007

谷原秀人がツアー通算5勝目

ちょうど石川くんが、18番ホールで黄色い声援を浴びていたころだった。17番で、地鳴りのような大歓声がとどろいた。グリーン手前のバンカーから、24ヤードの第3打を直接入れた。2位のマークセンを一気に2打差で突き放し、優勝を決定付けたこのイーグルこそプロのプライド。存在感を示す執念の1打。

15歳一色に染まったこの1週間、最後の最後に主役の座を取り戻したのが谷原だった。

昨年の全英オープンで5位に入った。
その後の活躍が期待されたが、ツアー通算6勝目は1年ぶりだ。

初出場を果たした今年4月のマスターズ。ドローヒッター有利と言われるオーガスタで打ちのめされた。
「今のスイングでは通用しない」と、スイング改造に着手。
出球から大きく曲げていく持ち球のフェードから、曲がり幅の少ないストレートボールへ。
「そのためにテイクバックの幅を30センチほど変えただけだったのに」。
完全にスイングを崩した。
「どうやっても曲がる。どうやっても上手くいかない」。
八方塞りのままツアー開幕を迎え、シード落ちさえ覚悟した。

「いい加減、もとのスイングに戻したら」と勧めるムキもあったが、そういわれるとますます意地になり、「絶対に諦めない」。しかし内心は「もうゴルフもしたくない」。

それほどの精神状態に陥りながら、それでも練習場から離れなかった。
試合のない日は1日8時間以上。「寝ているより、練習している時間のほうが長かった」。
辛抱強く球を打ち、自分を信じてひたすらこの日を待ち続けた。

片山と争って、賞金ランクは自己最高の2位につけたのは昨シーズン。
しかし今年は、まったく頭になかった賞金王取り。
今季初Vでぶち上げた。
「あともうひとつ勝てば面白くなる。早めの今季2勝目で、谷口さんを捕まえます」。
現在、賞金ランク1位の谷口徹に宣戦布告だ。

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