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日本オープンゴルフ選手権 2008
難コースを前に、選手たちが練るコース攻略も実にさまざまで・・・
その上アンジュレーションがきつく、「安全な面がまったくない。変なところに落としたら、3パットは当たり前」という難しさに、現在賞金ランク1位の谷原秀人は「昨日からドライバーを抜いた」という。
そのかわり60度を加え、57度、52度、48度のウェッジ4本で戦う。
ウッドは3番と5番だけ。アイアンは3番アイアンからのクラブセッティングは本戦でも「これでいく」。
1番ウッドを持たないラウンドは、自身初の試みだ。
「たとえ距離が残っても、フェアウェイから打ちたい」。
その分、グリーンを狙うショットは長いクラブを持たざるをえず、「それではなおさら小さなグリーンに止められないのでは。たとえラフからでも短いクラブなら、乗せられる技術がプロにはあるはず」と、野村惇・大会競技委員長は懸念したが、谷原は頑固に首を振る。
「ドライバーがバッグに入っていたら、使いたくなってきっとケガをする」。
過去10年で、優勝スコアがオーバーパーの今大会は99年の小樽カントリー倶楽部。
悪天候も相まって、尾崎直道が10オーバーで栄冠を勝ち取ったが、「今年はあれに次ぐ難しさ」と谷原は言う。
他の選手も見積もるとおり、「今回の優勝スコアもオーバーパー」という予想も、ドライバーの“完全封印”も、今のところ変えるつもりはない。
そんな谷原とまったく逆の戦法を取るのが17歳の高校生プロだ。
「プライドとかそういう問題じゃなく、僕にはそれが最善の策だと思うから」と、石川遼はパー3以外の全ホールでトライバーを握ると宣言した。
ところによってはわずか15ヤードしかないフェアウェイ幅も、「ティショットで刻むほど狭いコースじゃない」とは、ここにきてティショットが絶好調だからこそ言えることか。
「トラブルにならないほうへ外していけば、ダブルボギーやトリプルボギーはなくなるはず。しっかりイメージして、ラフからでも(グリーンに)乗せようという気持ちしかない」と、どこまでも強気な石川に、ディフェンディングチャンピオンは度肝を抜いた。
谷原と石川のちょうど間を取ったといった攻め方で、7ホール前後でドライバーを握るという谷口徹は石川の作戦を伝え聞いて、「ほんとなの〜?!」と思わず声を高くした。
「全部ドライバーを使っていいことは何もないと思うんだけど・・・。僕なら、きっとブルーになることばっかり。でも、それはそれでいい経験になるかもね」。
これはもう、17歳のお手並み拝見?!
かくいう本人は先週のキヤノンオープンで「嫌気がさして、途中で帰りたくなったくらい」との絶不調から、立ち直りつつある。
むしろ今週の難コースに教えられた。
「振ろうとするから。スイングのバランスが悪くなっていた」。
しかし今週はコースの問いかけに答え「コンパクトに振るように心がけたら、自然と強い球が打てるようになってきた」という。
昨年大会も、好調の5番ウッドを駆使して大会2度目の頂点に立った。
飛ばし屋有利の「優しいセッティングより、難しいコースのほうが面白いし好き」という谷口は、がぜん「やる気が出てきたよ」と、ニヤリ。
要求されるものが多いほど燃える賞金王は、今季初Vを連覇で決める!!