Tournament article
ブリヂストンオープン 2008
丸山茂樹は単独3位にも・・・
「おっしゃるとおりでございます」と、いつもの明るさでおどけたが実は深刻。
「長いクラブが、何ひとつうまくいかない。パットでいうイップスですよ」。
パッティングで手が動かなくなったり、逆に過剰反応したりする症状をそう呼ぶが、実はドライバーでもかかることがある。
「左に行ってる分には、まだいい」。
しかし、大雨が降りしきる3番で、ティショットを思い切り右に曲げて木の根元。
第2打は、右手1本の背面打ちという奇策でどうにかフェアウェイに出すしかなかった。
トリプルボギーを打ってからは「厳しい1日。苦しくて、苦しくて、苦しくて、苦しくて・・・」とため息をついた。
ティショットでドライバーを握るたびに「拒絶反応を起こしてしまう」という。
なんとか、アプローチとパットでスコアを作るが後半に来て我慢も限界。
「9番でも思い通りのフェードが打てなくて」。
ハーフターンでとうとう、ドライバーをクラブハウスに置いてきた。
残り9ホールのティショットはすべてスプーンで打ったが、もはや「悪いイメージしか残っていなかった」と、思い通りに打てたのは14、15番のわずか2ホール。
「まったくまっすぐ行かないのに2アンダー。これで明日、テレビに写るかと思うと恐ろしい」と、苦笑したまま顔をしかめた。
石川遼の無邪気さが羨ましい。
「17歳なら1発、2発曲がっても、残像は残らないだろうと思う」。
しかしプロ17年目、米ツアーで9年目を迎え「長年やっていると、スピードや高いところからジャンプするのが怖くなるように、これまでのキャリアが反応を起こしてしまう。いまは体に染みついたものを取り払わないといけない」。
あのジャンボもOB連発に苦しんだ時期があるように「これは誰でも通る道」。
いまは積もり積もったアクを取り、新しいものを「形状記憶させている」ような状況に不安は隠せない。
ホールアウトするなり、ブリヂストンのクラブメンテナンスカーに向かった。
週末は、0.5インチほどシャフトを短くしたドライバーを投入する予定だ。
記者会見の最中も、そわそわと「早く練習場に行きたいです」。
出来る限りの応急処置で、このホスト試合でのV争いに臨む。