Tournament article
つるやオープンゴルフトーナメント 2008
S・K・ホが逆転V
昨シーズンは、2002年に初シード入りして以来、自己ワーストの賞金ランク47位に終わった。
長男・トンファくんが誕生し、生活のペースが激変。
愛妻家はたまのオフに自宅に帰るとすすんで子育てをかってでた。妻・ヘヨンさんをサポートし、いざコースに出ても、考えるのは家族のことばかり。
「成績が良くても悪くても、帰る場所がある」。
そんな幸せと安定を手にしたものの、ゴルフに集中しきれず不甲斐ない成績に甘んじた。
その間に、母親の病状は進行していた。
持って1年…。
「生きている間に優勝のプレゼントがしたかった。そうでなければ悔いが残る」。
悲壮な決意で迎えた今シーズン。
2戦目にしてチャンスはやってきた。
しかし一度はあきらめた。
この日最終日は首位の岩田寛を懸命に追いかけたが、16番の連続バーディで突き放された。
続く17番パー5は、チャンスホールだ。
「2打差どころか、あと3打差、4打差つけられる可能性もある」。
今季からバッグをかつぐキャディの島中大輔さんと、話した。
「ここまで精いっぱい頑張ったけど優勝は神様が決めること。2位で終われば次につながる」。
そう慰め合った直後だった。
目の前で信じられないことが起きた。岩田が、あがり連続のダブルボギーを打ったのだ。
普段からスイングや、試合の際の心理状態などについて意見交換を交わす仲。異国の地で戦うSKにとって、かけがえのない日本の友達と最終日最終組でまわり、最後の最後に崩れ去る様子を目の当たりにした。
「…岩田くんは、すごくもったいないことした」。
同じ選手として、その悔しさは手に取るようにわかる。
とても手放しで喜ぶことができないが、せめてこの戦いがシード2年目の彼の糧になれば、と祈るように話した。
インタビューで優勝の喜びを語る前に、「僕に負けたことが、いつか良い経験だったといえるように。頑張ってほしい」と訴えた。
友達思いの孝行息子は、「近いうちにいちど帰国して、できるだけ早く母親に優勝を報告したい」と静かに言った。