Tournament article
The Championship by LEXUS 2008
S・K・ホ、今季2勝目で深まった親子の絆
普段は「あまり注意して見ない」という今年の各トーナメントの成績と部門別ランキング。
久しぶりに自分のデータをじっくりと見て思わず首をかしげた。
1度の予選落ちをのぞいて今季ワーストは日本プロの37位。
つるやオープンの優勝を含むトップ10入り5回。
賞金ランクは13位。
平均ストローク8位。
パーキープ率4位。
フェアウェイキープ率4位・・・。
「それぞれは決して悪くない。でも何かが足りない気がする」。
思い当たるフシはあった。
近頃、決まって上がりホールでボギーを打つ。
それで結局、パッとしない成績で終る。
詰めが甘いのだと気がついた。
「順位やスコアにこだわりすぎて、特に終盤にスイングのリズムも崩れている」。
反省してこの週は、最後の1打まで丁寧にプレーすることに決めた。
大量リードにつながった。
2位に5打差をつけた3日目の夜、母国韓国の実家に電話をかけたら、いつになく元気な母の声が聞けた。
末期がんと宣告され、自宅で闘病中のリ・スンエさんは意識が混沌としている日も多く、声の相手が息子だと分らないこともある。
しかしこの日は息子が優勝のチャンスを迎えていることが、母の気持ちに張りを与えているようだった。
30分ほど話し込んで確信した。
「僕が頑張れば母は元気になってくれる」。
そして息子もまたしかり。
大差をつけて最終日を迎えた経験はなかったが、「いつものようにゴルフをすれば大丈夫」と病床の母親に言われて勇気をもらった。
優勝インタビューの最中にも「今から母の声を聞くのが楽しみです」と気もそぞろ。
今季2勝目に、親子の絆も深まった。
残り4連戦。シーズン終了後も挨拶回りやコンペなどで忙しく、里帰りは年明けになりそうだ。
母親の顔はしばらく見られそうにないが「声が聞けるうちに、これからもたくさん良い報告がしたい」。
遠く離れていても、親孝行が何よりの励みだ。