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三菱ダイヤモンドカップゴルフ 2009

兼本貴司「明日は一歩下がって」

弱点はアプローチだそうだ。「ざっくり系がたまにあって」。その恐怖から、いつも打つ前は「どきどきしてしまう」という。

だから、この日はいきなりスタートから緊張を味わった。

1番で、左のラフからの第2打を、今度は右のラフに打ち込んで、大ピンチ。
だが、ここでOKパーを拾えたことで「気分が良くなった」という。

「スピンのかかり具合も、球の高さもすべてうまくコントロール出来て。イメージ通りの打ち方ができたので」。
さっそく波に乗るきっかけをつかみ、この日は後半から風雨が吹くコンディションも、持ち味のパンチショットを上手に打ち分け、5バーディ1ボギーの68をマークした。

最終18番でとうとうこの日初ボギーにも、「このコースでノーボギーはあり得ないと思っていたから」と悔しがる素振りも見せず、通算イーブンパーの2位タイにも「無理です、勝てるわけないでしょう!?」と、完全無欲だ。

プロ15年目だが、まだ未勝利。
99年にシード入りを果たしたが、3年前にシード落ちの憂き目も味わっている38歳は、「勝てるなら、もうとっくに勝っているはずでしょ?」と飾り気もなく、大きな口でガハハと笑う。

「今日だって、本人が4アンダーで回れるとは思ってない。そんな選手がいきなりこのコースでなんて。あり得ないでしょ」とまた笑ったが、難コースではそんな力の抜け加減が奏功するかもしれない。

「そんなこと言いながら、ほんとは優勝したいんですよ」とこっそりと打ち明けながら、「でも明日は、一歩下がって、これまでやってきたことをやれればいいかな。出たとこ勝負でね」。

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