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マイナビABCチャンピオンシップ 2009

片山晋呉は「備長炭のシンゴで行きます」

4月のマスターズで2打差の4位につけて以降、「燃えるものがない。ボギーを打っても悔しいと思えない。こんなのは初めて」と嘆いていた片山の心にようやく火がついた。

きっかけは、今週の月曜日だった。
神奈川県の横浜アリーナで行われた格闘家の武田幸三さんの引退試合を観戦。
6年来のつきあいという同い年の大親友の最後の晴れ姿に片山は、武田さんが入場してからリングを去るまで、感動でずっと泣き通しだったという。

試合前にはいつも、家族に遺書をしたためて臨んでいたという武田さんの引退の言葉は「生きて家族のもとに帰れる」。
TKO負けを喫したが、見事な散り際を見届けた片山は思った。
「俺やっていることは甘いね。あっちが痛いとか、こっちが痛いとか……」。
命がけで戦う武田さんに「心が入れ替わった」という。

「彼はもうやれないけれど、俺なんかはこれから」。
36歳を越えて、ゴルフはますます脂が乗る時期と言われ、「やらなければいけないということが分かった。燃えるものが見つかった」と、言葉少なだった先週までとはうってかわって、気合いのこもった言葉が次から次へとこぼれ出て来た。

今大会は過去10度の出場で、2006年の連覇を含む優勝3回。トップ10入り5回と絶好の相性の良さを誇る。
「ここに来ると、いつも何かを気づかせてくれるんです。ここに来ると、そうなるようになっている。神様がいる」。
まさに“ABC男”の復活劇は、やっぱりこの舞台しかないと分かって心に決めた。
「これからは、備長炭のシンゴで行く」。
そのココロは、「燃えて、燃えて、またそこから燃え上がる。火力が…技術が違うんです」。
いつもの自信も戻ってきた。

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