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長嶋茂雄 INVITATIONAL セガサミーカップゴルフトーナメント 2009

敗れた井戸木鴻樹は「まだやれる」

ティショットで確実にフェアウェーを捉え、正確なアイアンショットでグリーンに乗せる。距離の長いホールは丁寧に刻み、得意な距離を残して2パットでしのぐ。
分刻みで首位が入れ替わる大混戦も、しぶといゴルフで「粘って、粘って、粘って・・・」。
前日3日目の第3ラウンドから、ボギーなしのラウンドを続けていた井戸木だったが終盤の16番パー3でついに、この日初ボギー。

わずかに届かなかったティショットはかろうじて池の淵で止まったが、不自然な姿勢でのアプローチは寄せきれず、2メートルのパーパットを外した。

前日まで好調だったパッティングにも、迷いが出ていた。
「今日はラインももう、ちぐはぐで。最初は切れるかな、と思ったり、やっぱり切れないかな、切れるかななんて思ったりして。中には良いパットもあったんですけど、ラインのミスもありました」と、振り返る。

1打差で迎えた最終18番は、プレーオフに進むラストチャンス。
15年11ヶ月24日ぶりのツアー通算3勝目なら、73年のツアー制度施行後としては、長谷川勝治の13年と2ヶ月20日の記録を更新する最年長ブランクVとなるはずだった。

しかし、右奧から3.5メートルのバーディチャンスはカップをそれた。
大記録の達成はならなかった。
「僕も勝ちたいのは勝ちたかったんですけどねえ・・・・・・。自分の組み立てたゴルフがこういう結果ですから仕方ない」と、敗れてもなお人の良い笑みを浮かべていた井戸木だったが、この単独2位で新たな炎が燃えだした。

獲得賞金は1300万円を超えて、2年ぶりのシード権にめどがついたら、また次の目標に向かっていける。
「また練習してやり直しです。パター次第で、まだやれる」。
復活に燃える47歳は、深くしわが刻まれた頬を最後はキリリと引き締めた。

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