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〜全英への道〜 ミズノオープンよみうりクラシック 2009

鈴木亨「この大会で勝ちたい思いは人一倍」

普段、温厚な選手が珍しく語気を強めた。報道陣に「気負いすぎるからダメなのでは?」と言われたときだ。

「気負ってダメになるくらいなら、プロをやめたほうがいいんです」。

確かに、プレッシャーは普段の大会以上だが、それは毎年、覚悟の上だ。
「ここに来る前から思っている。この大会で勝ちたいと。その思いは人一倍に持っている」。

鈴木が、今大会主催のミズノと正式に契約を結んだのは、プロ入りを果たしてからだ。
だが、同社のクラブとの出会いはもう30年も前にさかのぼる。
中学2年のとき、クラフトマンに作ってもらったのが初めての“マイクラブ”。もちろん、それ以来他のメーカーに「浮気」したことはない。
「ぜひ勝って、長年の恩を返したい」。
いつもそう思いながら、なかなか叶えられずにいる。

その要因として考えられる点を指摘した報道陣の、冒頭の言葉だったのだが鈴木はそれをきっぱりと否定した。
また、1986年大会の中嶋常幸(当時)以来、所属プロによるチャンピオンが誕生していないことも発奮材料に、「そろそろ、本当に僕らが勝たなくちゃ!」と、気合いが入る。

2年ぶりに舞台が戻ったよみうりカントリークラブは大幅な改造工事を行って、様相が一変した。
なんといっても大きな変化はベントの1グリーン化で、起伏に富んだアンジュレーションは「距離感を合わせるのも難しい中で、今年はなかなか大きなスコアが出づらいのではないか」と、踏んでいる。

舞台は難度を増したが、本人には吉兆がある。
まずは今月16、17日に北海道の大雪山カントリークラブで行われた旭川オープン。
杉原輝雄の名前を冠したこの地区競技で、宮里聖志とのプレーオフの末に、一昨年と2006年に続く大会3度目の優勝を飾った。

また、その翌日の知人とのプライベートラウンドで、人生初のホールインワンも達成。
「良いものをたくさん持って来られた」と、ウハウハのまま会場入りだ。

今大会は、いよいよ全英オープン日本予選の最終戦。
本人には、2002年以来のメジャー切符もかかるがそれもひとまず二の次で、「それよりも、とにかくここで勝ちたい」と、言いつのる。

予選2日間は、丸山茂樹と石川遼と同じ組。
そのことすら周囲の期待の表れと、自覚している43歳の最年長シードプロ(日本人として)は、「ホストプロとして、ぜひ主催者の気持ちに応えたい」。
最年少シード選手との直接対決をも発奮材料に、気を吐いた。

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