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中日クラウンズ 2009

藤田寛之が単独首位に

今年10年ぶりに和合に帰ってきた丸山茂樹が苦笑いで言った。「いつもこのコースはやっつけることが出来ない・・・」。初日3オーバーに「ここは、ショットの良い人しか来られない。僕はダメです」と、もはや諦めモードだ。
丸山の言葉どおり、ショットメーカーが首位に立った。

藤田寛之が64をマークして6アンダー。
昨年は初タイトルこそ逃したが、近藤共弘とのプレーオフの末に、和合で自己最高の2位に入った。

しかも、過去出場11回で予選落ちなし。

もはやコースとの相性の良さは、周囲も認めるところだ。
「成績がいいので、自分でも認めざるをえない」といいながら、しかし、どことなく不服そうに本人は言うのだ。

「なぜいいのか、分からないんです。ここ最近、毎年インタビューされている気がするのですが、それが自分でも不思議で仕方ない」。

この日も、けっして満足いくショットが打てているわけではないという。
「もともと下手なんですよ」。

謙遜ではない。本気で言っている。
難コースを前にして、試行錯誤が続いている。

幸い、師匠の芹澤信雄も主催者推薦を受けて今大会に出場しており、練習日に指摘を受けた。
「左足の踏ん張りが足りないのではないか」。
その意識を高めるために、いまフルショットを避けて回っているそうだが、コースに出るとそれもなかなか出来ないという。

17番での6番アイアンのティショットも、18番の残り160ヤードの第2打も「ダフりのような・・・ちょっと噛み気味。ほんとにダメで」。
バーディフィニッシュにも顔色は冴えず、師匠に言われた「それにしても、ちょっとスイングで悩みすぎでは」との言葉を思い出して、「確かにそうかも」と、自嘲の笑みだ。

練習日に、昨年覇者の近藤は和合を表して「サディスティックなコース」と言ったが、藤田のこの性格をして、そのあたりも相性の良さにつながっているのかもしれない。
「確かに、ここに来ると挑戦意欲が増します。コースとの戦いを意識することで、モチベーションを保っている感じです」。

それに、調子が良いと言っている選手ほど、怪我が大きいコースともいえる。
「調子に乗ると、落とし穴に落ち込むから」。
藤田くらい、悩んでいて和合はちょうど良いのかもしれない。


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