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JCBクラシック 2007
小田孔明が暫定2位タイ
昨年のドライビングディスタンスで7位。
身長176センチ、体重95キロの体格を生かし、今季は先週まで5戦で平均飛距離291.91ヤードを記録して累計でランク8位。
「僕の飛距離だとフェアウェーに置いて、グリーンのアンジュレーションさえ気をつければ、ここはけっこうなスコアが出るだろう、と」。
予感的中の好発進。
この日、セカンドで握った一番長いクラブは、10番と18番の7アイアンだった。
フェアウェーもほとんど外さず、正確かつ豪快に飛ばして、短いクラブでピタピタとチャンスにつけた。
最近、風の強い大会が続き、パンチショットを多用した影響で左手首を傷めていた。
先週の三菱ダイヤモンドカップではやむなく棄権をしたが、今はその後遺症もほとんどなく、ボギーなしの6アンダーをマークした。
今季は序盤から絶好調だ。
中日クラウンズで単独3位。
2週前のマンシングウェアオープンは、最終日の第3ラウンド終了時に単独首位につけながら、最終ラウンドで15歳の石川遼くんに破れたものの4位タイ。
「スタートダッシュ」の要因は、ご近所さん効果だ。
やはり福岡県の飯塚市内に住む伊澤利光。
小田の家から「車で10分」という縁で、今年から同じトレーニングジムに通うようになった。
以前は「ゴルフは、あまり筋肉を鍛えるものではない」と思っていたが、考えを改めた。
伊澤のとなりで汗を流すうちに、気がついた。
「体を鍛えないと、世界でも日本でも通用しない」。
そんな意識改革が、ショットのキレに結びついた。
「飛距離も、軽く振っても前と変わらない」。
また以前よりも、疲れない体になったと実感している。
現在、賞金ランク13位は獲得賞金も1400万円を超えて、昨年のボーダーラインをほぼクリア。
プロ8年目にして初のシード入りを手中に収め、「あとは、優勝だけだな」と、伊澤にも太鼓判を押されている。
もちろん、本人も切望する初優勝。
ネックになっているのは精神面だ。
「最終日に残り9ホールを切ってから“あと何ホール”と考えてしまう。そうすると、たいてい崩れてしまうから」。
今度こそ最後まで、無心を貫き通す覚悟だ。
小田孔明(おだこうめい)
三国志のファンだった父・憲翁さんが、特に「赤壁の戦い」で活躍した諸葛孔明(しょかつこうめい)に憧れて、その名を取った。
「昔は意味がわからなかったけれど。背景を知った今は少し重い反面、すぐに覚えてもらえるからこの名前が気に入っている」という28歳。
1978年6月7日生まれ。福岡県飯塚市出身。
ゴルフを始めたのは小1のときだった。
憲翁さんが、手嶋多一の父・啓さんが経営する練習場のメンバーだった。一緒に遊びに来ていた小田に、啓さんが目をつけた。
「体格が良いからゴルフをやってみないか、と言われて」。
そのころ、手嶋はすでに福岡の怪童と呼ばれており、九州ではその名を知らない人はいなかったという。
「どうせやるなら多一さんのように、全国的に有名な選手になりたい」と、小田がプロ入りを意識したのは小5のとき。
東京学館浦安高に特待生で入学。2000年にプロ転向を果たし、2003年にマンシングウェアオープンKSBカップでツアーデビュー。
昨年のファイナルQTランク5位の資格で参戦した今年、6戦目にして獲得賞金は1400万円を超えて、初のシード権をほぼ手中に入れている。