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小田孔明がカシオワールドオープンのチャリティ寄贈式に参加
主催者を代表して、黒潮観光開発株式会社の北淳一・代表取締役社長のご挨拶。
続いて挨拶に立った小田は、児童代表の6年2組の坂本大地くんと岡林智美さんに、スナッグゴルフセットを贈った。
6年1組の石岡宏晃くんと東條美都貴さんが、やはり児童を代表してお礼のメッセージ。
そのあと、参加した5,6年生全員で小田を囲んで記念撮影をした。
贈呈式はおごそかな空気の中、台本どおりにつつがなく終了した。
子供たちの元気が爆発したのは、その直後だった。
あっという間に小田は取り囲まれた。無数の手に腕を引っ張られ、背中を押されるようにして廊下を歩いた。降り始めた雨もお構いなしに、校庭に連れ出された。
さあ、この日のメインイベントの始まりだ。
毎年11月に行われているジャパンゴルフツアーの「カシオワールドオープン」が社会貢献活動の一環として、大会を通じて集まったチャリティ金で、地元の小学校へのスナッグゴルフセットの寄贈をスタートのは2006年。
例年は、大会の開催コースのkochi黒潮カントリークラブに主催者、関係者が集まって贈呈式を行うだけにとどまっていた。
そのあとで、スナッグゴルフの普及につとめる高知県ゴルフ協会が、導入先の小学校を選考するといった形だった。
しかし今年は、寄贈する4セットのうち1セットを直接、子供たちに手渡すことになったばかりか、同時にスナッグゴルフの講習会を実施することになった。
そのプレゼンター兼講師として、この日9日(月)のチャリティ寄贈式に招かれたのが、昨年の同大会でツアー初優勝をあげた小田だった。
まずは、トッププロの豪快ショットで幕を開けた講習会。
始めこそ、空振りやチョロを連発して、小田に手取り足取りのアドバイスを受けていた子もすぐにコツをつかんでどんどん遠くに飛ばし出す。
「僕も」「私も」とたちまち夢中になって、じりじりと自分の出番を待った。
そんな子供たちの様子に小田は、次第に何も言わなくなった。
質問をしてきた子や、明らかにグリップが違っている子、また怪我の恐れがある場合など。それ以外はただ、目尻を下げて見つめているだけ。
父・憲翁さんの手ほどきで、小1からゴルフを始めた自身の子供時代をその姿に重ねながらつぶやいた。
「初めは飛ばす喜びを、ただ感じてくれるだけでいいんです。こういうときは、見守るだけでいい。最初は自由にやればいんです」。
終始、笑顔で「みんな、センスいいぞ〜」と声をかけながら、それでもどうしても、子供たちに伝えておかなければいけないことがあった。
ゴルフには、ルールがあること。相手を思いやることで、より楽しみが増していくこと。
「今日はみんな、だんだん列がバラバラになったりしてしまっていたけれど。ルールや順番を守ることで、ゴルフはますます面白くなるから。これからも、みんなで仲良く楽しく遊んでください」とのプロから直々のお願いに、「はい〜っ!!」と、元気のよい返事で答えてくれた子供たちを見渡しながら、小田はふと思いを馳せる。
この中から将来、プロゴルファーを目指す子が出てくるかもしれない。
そして10年、20年後にカシオワールドオープンの会場で「あのとき、小田プロにスナッグゴルフを教わったのが僕です」と、打ち明けてくれる子がいるかもしれない。
「そして、その子と優勝争いが出来るかもしれない」。
そう考えると、ワクワクした。
そんな日が、待ち遠しくてたまらなくなった。
「ま、でも、そのころには僕も、けっこう年取っちゃってるとは思うけど。それはそれで、楽しいかな」。
そう言って「うひゃひゃ」と、笑った。