記事
2008年度ジャパンゴルフツアー表彰式<最終章>
片山晋呉の王座奪還への道のりは、すでに昨年のこの日から始まっていた。
谷口徹に4年連続の快挙を阻止されて、「しばらく眠れないほどの悔しさ」を味わった。まして部門別ランキングでは、まさかの“無冠”にスポットライトの陰で改めてリベンジを誓い、表彰式の会場からその足でジムに直行。
「スーツからトレーニングウェアに着替えて汗を流した」という。
もともと極限まで自らを追い込むスタイルでゴルフに取り組んできた男だが、オフはこれまで以上にのめり込み、心身ともに鍛え上げて迎えた今シーズンだった。
それだけに、青木功と並んで尾崎将司の12回につぐ5度目の賞金王。また、9年連続の獲得賞金1億円突破は、日本ツアー史上初という快挙をひっさげて、再びこの舞台に帰ってきた喜びはひとしおだ。
しかも今年は特に、忘れられない年になった。
10月の日本オープンでツアー通算25勝を達成。
人一倍こだわる日本一の舞台で、史上7人目の永久シード入りを果たした。
AONが90年代のツアーを席巻したように、“片山時代”を確固たるものとした証でもある。
本人が人一倍こだわる平均ストロークも、2年ぶりに1位に返り咲いたばかりか、今年は平均69.57を記録した。
自身9年連続の60台という快挙に「いろんなところが勝っていないと、出せない数字」と手応えをにじませる。
さらにパーキープ率で89.29%を記録して、ランク1位に。
今年の表彰式は、永久シード選手が各賞のプレゼンターをつとめるという工夫がされていた。
片山は計4冠のうち、最優秀選手賞と賞金ランキング賞の記念のトロフィーは、ツアー通算51勝の青木功から贈られた。
また表彰式のあとは、その中の青木功、杉原輝雄、中嶋常幸、尾崎直道らとともに壇上に出て、トークショーを繰り広げた。
幼いころから憧れてやまない偉大な選手たちの仲間入りをしたことを、改めて実感したシーン。
「重かったですね。あの中に自分も入ったということは、とても重いことなんだと思いましたね」。
トークショーのあとは、揃って記念撮影に応じ、「その写真を僕自身が写メ(写メール)に撮りたかった」と興奮した今季の賞金王に、4年連続を含む過去5度の賞金王に輝いた青木が贈ったお祝いのメッセージは「これからは、ますますその自覚と責任を持たなければならない」。
本人も百も承知で、改めてその言葉を胸に刻んだ。
石川遼というスーパースターの出現で一気に活気づき、同時に他の選手たちも「負けられない!」と諸手をあげる男子ツアー。
誰もが高いモチベーションで臨むいま、来季以降のジャパンゴルフツアーは本格的な戦国時代に突入するだろう。
「その中心になれるよう、これからも頑張っていく」と、力をこめた。
そしてゴルフや成績で存在感を示していくのはもちろん、これまでも続けてきたジュニア育成や、チャリティ活動にもますます積極的に取り組んでいくつもりだ。
「たとえばスナッグゴルフゴルフの普及などを通じて、“やりたいスポーツはゴルフ”と言ってくれる子を少しでも増やしていくことも、僕の役割のひとつだと思っている」。
青木やジャンボ、中嶋に憧れた少年時代。
彼らの意志を受け継いで、今度は自らが若い世代にますます良いお手本を示していく番だ。
なお賞金王を支えたベストサポート賞として、片山は株式会社フィジックの代表取締役社長で専属コーチの谷将貴さんと、ファイテン株式会社のトレーナーの中村俊介さんと、用具契約を結ぶ株式会社ナイキジャパン スポーツマーケティングの和泉順介氏と高田智之氏を壇上に呼び寄せて、感謝の気持ちをこめて、記念品を贈呈しました。
また優勝回数と賞金ランキングと平均ストロークの3部門のポイントによって選出される最優秀選手賞に輝いた片山には社団法人 日本ゴルフツアー機構より記念のトロフィと、UBSグループ UBS証券株式会社の社長で日本における代表者の大森進さまより賞金100万円が、副賞として全日本空輸株式会社の菊池克頼・上席執行役員より『ANA国際線 ビジネスクラス任意ー区間往復ペア航空券』が贈られました。
さらに自身通算5度目の賞金ランキング賞として、同じく記念のトロフィと、東建コーポレーション株式会社の左右田鑑穂(そうだかんすい)代表取締役社長より賞金100万円と、副賞として銀座審美堂の山岡伸一郎・代表取締役社長より、『銀座審美堂 プラチナダイヤモンドピンブローチ』が贈られました。
平均ストローク賞にはトロフィと、副賞として株式会社宍戸国際ゴルフ倶楽部より『グランドハイアット東京 エグゼクティブスイート&スパ&ディナー ペア宿泊券』が。
パーキープ率賞にはトロフィと、アサヒビール株式会社より『アサヒスーパードライ 缶ビール1年分』が、それぞれ贈られました。