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TOSHIN GOLF TOURNAMENT IN 涼仙 2012

ゴルフでも貫いた諦めない心

レフティの立浪さんは「僕の場合はドライバーがすべて。その中でもアプローチだけは、自分の思うように出来たかな」
2日間の戦いを終えて、2人のスターが互いの成果を語り合う。苦笑混じりに切り出したのは桑田真澄さん。「意識すると、いつもやってるように打てなくなる・・・。何なのあれは」と、疑問をぶつけられたのは、傍らの後輩、立浪和義さん。
「変なプレッシャーが、無意識に出てきますよね」。
「俺は最後の18番も、2回でバンカー出ないし、意識すると打てなくなる」と、桑田さんは何度も首をかしげた。

野球界のスター2人は、初出場のゴルフツアーで「今日こそ70台を」と意気込んで、2日目を出ていった。
しかし、立浪さんは「出鼻をくじかれた」と、スタートの10番でいきなりOB。
「昨日より、良いスコアと気負って出たけれど」。
そう意気込むほどに、思うようにいかない。
「プロの方は、ボギーにしちゃいけないと思うところを、僕らはひとつ違ってダボにしちゃいけない。そう思うと余計にプレッシャーがかかるというか・・・」。

桑田さんも、前半のアウトコースを39で折り返したとあらば、目標達成にも色気が出てくる。「でも上がり3ホールでばたばたと崩れましたね」と、最後の18番もダブルボギーの幕切れに、「何でしょうかね、あれは」と、改めて苦笑した。

「途中、気持ちが折れかけることがなかった?」と、立浪さんのほうに首を傾け「俺はあった」と、振り返った桑田さん。
「金縛りみたいになるよな。ロボットみたいになって、全然ヘッドが走らなくなったり」。
「野球以上にメンタルが大事なスポーツですね」と立浪さんは頷いた。

大観衆の前で極度の緊張感を幾たびも、かいくぐってきた2人のスターも、ことゴルフとなると、野球のようにはいかなかった。
それでも初日は、3番をつけたドラゴンズのユニフォームを着て駆けつけた熱心なファンや、サインを求める長い列の中には、わざわざ野球ボールを持参して、桑田さんに差し出す人もいた。

目標は達成されなかったが2日間を戦い終えて、「ご苦労様」と大勢のギャラリーにねぎらわれて上がってきた桑田さんの表情は、充実感に満ちていた。
「確かに、技術的には大人と子供くらいの差はあるのですが、それでもスポーツマンとして諦めないというのがひとつ大事なこと。それを貫けたのが、2人とも良かったんじゃないか」と、立浪さんとうなずき合った。
「野球もゴルフも素晴らしいスポーツだ」という気持ちで一致した。

桑田さんは「お金を出しても買えないチャンスをいただいた。また機会があれば、ぜひ出たい」。
でも立浪さんは「今の僕の実力ではまだ早いな、と。痛感していますので、もうちょっと練習して自信がつけば」。
「技術的に自信がないとやっぱりダメだよね」と、桑田さん。
「・・・これから、練習する?」。
「いや、もう今日はしないです!」と即答した立浪さん。
「そうだよねえ、今週はもうお腹いっぱいだよね」と、2人のスターは笑い合った。

  • ホールアウト後に揃ってテレビインタビューに臨んだ2人。楽しい掛け合いで、笑わせた。
  • そのあと桑田さんは、サインを待つファンの前に再登場。炎天下で黙々とペンを走らす

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