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日本ゴルフツアー選手権 Citibank Cup Shishido Hills 2012

さらにフレッシュ! こちらは10代のプロ2人組

22歳の三人衆以上に“新鮮力”は、こちらの2人だ。川村昌弘と浅地洋佑(あさぢようすけ)。浅地は先週の24日に川村より、ちょうどひと月お先に19歳の誕生日を迎えたが、共に18歳という若さで、いばらの道を歩き始めた。

過酷なプロの世界。まずは、環境に慣れるのだけでもひと苦労と思うが、この2人に限っては、大人の心配も杞憂(きゆう)に思えてくる。

川村はファイナルQTランク19位の資格で、浅地は同11位で、いよいよ船出をしたこのデビュー年。
嬉々として戦う彼らには、連戦による疲れや、気苦労などみじんも感じられない。
むしろ声を揃えて無邪気に言うことは、「毎週大好きなゴルフが出来て、すごく幸せ。プロになって本当に良かった!!」。

確かに最初は先輩プロに遠慮がちだった。特に川村は浅地より、アマチュア時代のツアー挑戦が少なかったために、緊張することは多かった。

たとえば、ツアーに帯同するフィットネスカー「プレジャー」は出場選手なら誰でも、成瀬克弘さんら、トレーナーのケアを受けられるが、「自分みたいな若いのが、利用させてもらっても良いものかどうか」。
そんな気遣いさえ「先輩方より、うんと年下の自分ならば当たり前」とは思っていても、そして若いからとは言っても日々の疲れは少なからずある。

「足を自分で揉んでみたり・・・」。
しかし、あることをきっかけに、日本プロから成瀬さんたちに見てもらうようになって、「自分でマッサージするより数段いい。その日の疲れをその日のうちに解消出来るのが嬉しい。お世話になっています」と、それもひとつすでに獲得賞金は1100万円を越えた今季、破竹の活躍の原動力になっている。

開幕からこれまで6戦のフル参戦で、予選落ちなしと安定した成績が続いている川村の活躍が「凄く嬉しい」と浅地は言う。

「あいつや僕が上位で頑張ることで、僕らより下の子たちも『俺たちもやれるんだ』と思える。昌弘や僕が予選通過をして頑張っていることで、起爆剤になれればいいなと思う」と、早くもその若い力を次につなげようとする姿勢にも、感服する。

10代プロにはそれぞれ初めてのツアープレーヤーNO.1決定戦。
毎年、タフなセッティングが選手たちを苦しめるが、それすら歓迎ムードの19歳にも恐れ入る。
「僕は、こういう我慢大会のコースが好きなので」とこともなげに言うのは浅地だ。

「いま、ティショットがここ最近で一番なので」と、この日水曜日の練習ラウンドは前半はインコースの9ホールで一度もフェアウェイを外さず、またこの日は意を決して申し込んだという中嶋常幸との初めての同組ラウンドで、得るものも大きかった。

「中嶋さんの多彩なアプローチの技を盗みたい」というその心は、「このコースはグリーンを外したときに、いかに寄せてパターでしのぐか」と、早くもつかんだ攻略の、鍵を握ると踏んでいるから。

大御所のプレーを食い入るように見つめていた浅地。「自信は常にある。今週も何位とかは決めずに常に1打1打に集中してやれたら。そしたら必ず結果がついてくる」。
あどけない視線の向こうに見える可能性は無限大だ。

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