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孔明が怒濤のバーディラッシュ!(全英オープン最終日)

最終日のホイレークで、孔明は一度は悪夢を見た。3番のパー4だ。フェアウェイからダフリ気味のショットは、まさかの右OB。ショックから、打ち直しを今度は左に外し、寄らず入らずのトリプルボギーを打った。

ひとりぼっちなら、そのまま気持ちが萎えてしまうところだった。「直さんと、諦めずに頑張ろうと話した」。普段は藤本佳則のエースキャディをつとめる前村直昭さんの明るい笑顔に励まされ、次の4番のナイスパーセーブを契機に、孔明の逆襲が始まった。

5番パー5では4メートル。
6番パー3はピン横5メートル。7番ではピン右2メートルと、バーディチャンスを次々とモノにして、ついに8番パー4だ。
グリーン右奥からのマウンド超えのアプローチ。柔らかいタッチのサンドウェッジは、見事にカップを捉えた。チップインの4連続バーディで、3番のミスを一気に帳消しにしてみせた。

そしてその後のサンデーバックナインも勢いはとどまるところを知らず、この日は獲りも獲ったり8つのバーディで、通算スコアも有言実行の赤字に戻して上がってきた。

74を打った前日3日目。「明日の最終日は通算スコアをアンダーパーに戻してみせる」と、言ったからにはやり遂げるのが、目下日本でもっとも強い男だ。
「そうですね」と、満面の笑み。
4度目の挑戦にして、初めて決勝ラウンドに挑んだリンクスコースで、「ダボやトリプルを打ってもあきらめずにバーディーを取る姿勢が大事」ということを、改めて強く心に刻んだ。
「自分と世界のトップとの差はまだまだある」と痛感した。
「トップランカーは難しいホールでも、平気でドライバーでガンガン行くし、ミスしてもそこからのリカバリーが素晴らしい」と嘆息する一方で、同時に「自分も今日みたいなゴルフを4日間続けていければ、世界でも上位に行ける」との手応えも、つかむことができた。

メジャーの舞台で4日間を過ごした収穫は、あまりにも大きい。
「やはり2日で終わってしまうと学びも半減してしまうので」。次は、いったん帰国して「ダンロップ・スリクソン福島オープン」に挑む。
「今回、学んだことを確認して、そのあと全米プロで、またメジャーに挑戦です」。目下、日本ツアーの賞金ランキングで1位を走る男の勢いは、これを契機にますます加速しそうな気配だ。

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