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ゴルフ日本シリーズJTカップ 2015

策士、策に溺れる!? 孔明の秘策も泡と消える?!

2015年最終戦となるゴルフ日本シリーズJTカップ。2日目のこの日は、陽が高くなるにつれて風が強くなり、グリーンの速さも増していった。その難易度に、多くの選手が苦しみ、なかなかスコアも伸びない中でも、この日は2バーディ2ボギーのイーブンパーで回って、通算4アンダーで首位タイに立った。
「オーバーパーを打たなくて良かった」と、ホッと胸をなで下ろして上がるなり、通称・逃げ切りの孔明が週末に向けて、三国志のごとく秘策を練った。
 この日は最終組で回ってきて、見上げた18番のスコアボード。自分のほかに同じ4アンダーの首位で、すでにホールアウトしていたのは石川遼と藤本佳則と、たったいま孔明と一緒に最終組であがってきた黄重乾(ハンジュンゴン)の3人だ・・・と、孔明はなぜか勝手に思い込んでいた。

合わせて4人がトップタイに並んでいるという状況ならば「俺と同じ組のジュンゴンが、先にスコアカードを提出してくれれば、俺は明日の最終組を回避出来る!」。
 というのも、翌日3日目の組み合わせは成績の良い選手ほど後ろに組まれるが、同スコアの場合は前日のアテストの際に、先にスコアカードを出した選手ほど、これまた後ろの組となる決まりだからだ。

 そして、なぜこれほどまでに孔明が3日目の最終組を避けようとしたかといえば、「遼には最近、ボロボロにやられてっから・・・」。近頃、どうやら石川に苦手意識が芽生え始めているらしい孔明は、まんまと“遼対策”を取ったつもりで上機嫌。これで、3日目は“ラス前”から悠々と、石川の戦況を伺いながら回れる!
 
 喜々としてクラブハウスに戻ってきたのもつかの間、すべては泡と消えた。
 孔明が、自分と同スコアで並んでいたと思っていた藤本は、実はこの日最後の18番でボギーを打って、1打差の通算3アンダーは4位タイに後退しており、孔明が黄(ハン)より後にスコアカードを出そうが出すまいが、どうしたって石川との最終組はまぬかれず、しかも報道陣に囲まれるまでその事実すら知らずにいた孔明は「えっ?!嘘でしょ?」と、唖然呆然。
「4アンダーって3人? オレの作戦失敗じゃん! 策士でもなかったじゃん!」。単なる勘違いという失策には、孔明の叫びも空しく響くばかりであった。

 思えば、先週のカシオワールドオープンの3日目にも、石川と同じ最終組で回った孔明。
「先週は悔しい思いをしたからね」。石川ばかりか先週は、黄(ハン)と揃って2人に差をつけられて蚊帳の外。昨年の賞金王が、今季まだ未勝利という屈辱も加えて、あんな思いはもうたくさんだ。
「今年はそういう年」とそこは割り切り、せめて「今週、勝てればいい」。この今季シーズン最終戦こそ堂々と石川へのリベンジを果たし、苦手意識も年の最後にきっちりと精算して、滑り込みの今季初Vならどうにか孔明も、ウハウハの新年を迎えられるというものだ。

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