3日間、晴天続きの和合コース。太陽と風にさらされて、グリーンは日に日にかた く、速くなる。 加えて、この日のピン位置は前後左右に振られるシビアなセッティング。誘惑に負 け、無理にピンを狙 いに行った選手たちが、次々と和合の罠にはまっていく。
首位タイスタートの地元プレーヤー、近藤智弘は12番パー4でバンカーからのリカバ リーショットをミ ス。5オン3パットで8を叩き、転落した。

同じ組の手嶋も、10番のボギーをひきがねに、12番から連続ボギーを打っていた。 ドッグレッグの10番パー4は、会心のティショットを打ったにもかかわらずラフ。 「晴天でフェアウェ ーも乾いて、昨日までよりランが出て突き抜けてしまった」。
残り100ヤードの第2打 はフライヤーがか かってグリーン奥へと、ミスを重ねた。「今日はほんとに、ラフから打つとどうしよ うもない状態。い ったんグリーンに落ちても、絶対、奥に転がってしまう感じだった」パーパットも大 きくオーバーして ボギーに、ショックを引きずったまま次のホールへ進んだのだった。
案の定、ボギーが続いたところで手嶋はふと我に返った。 「攻め方が、ついピンを狙いにいったり、雑になっている。ボギーを取り返そうとい う気持ちのままい くと、きっとさらにまたボギーを打つ」
普段のプレースタイルである、「グリーンの真中からのゴルフをもう1回やり直そ う」と、気持ちを切 り替えると、次の14番では左ラフからチップインバーディを奪った。
「14番は苦手ホールだった。そこを切り抜ければ上がりホールでまたチャンスが来る のではないか、と 思えたことが、良かったですね」
続く15番でも連続バーディを奪い、通算8アンダーで藤田と並んで首位をキープし た。 1打差3位の谷口徹が、「手嶋だけには負けたくない」とライバル心をむき出している が、手嶋は挑発に は乗らない。 「ここは狙って勝てるコースじゃない。人と戦う前に、まずはコースと戦わないと ・・・。明日はそちら に集中してやりたいと思っていますから」
和合コースの難しさが、最終日に挑む手嶋を、いっそう謙虚にさせている。

• 手嶋 多一
• 近藤 智弘
• 谷口 徹