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駅伝から着想。プロゴルファーが県対抗チャリティゴルフを開催するまで
出場各10人ずつ2人のペアを組み、5対5のダブルス戦でガチンコ勝負。
アウトコースのベストボールと、インコースでのスクランブル方式は、2勝2敗1分の同点で決着はプレーオフに突入。
バーディVSパーで”チーム広島”がみごとホームで歓喜した。
どのプロも、大方が「チーム戦は、学生時代以来。久しぶりに楽しかった!」と、満足そうに健闘をたたえ合った。
発起人の一人として、本大会を企画したのは広島県プロで、レギュラーツアーでのシード経験もある34歳の平本穏(ひらもとやすき)。
苦境が続く男子ゴルフに少しでも光を当てられないか。「こんな状況でも、ゴルフで社会に貢献できないか。誰かがなんとかせにゃいけん」(平本)。
着想は毎年、平本の自宅前がレースコースに組み込まれる都道府県別の全国対抗駅伝。いつも、大勢の人たちが沿道を埋め尽くす。
「個人スポーツのゴルフは、一人ひとりになかなかファンがつきにくいですが、駅伝みたいに県でくくってみればどうか? たとえば、『平本っちゅうプロは別にわからんけど、広島出身のプロなら応援してみようか』と言ってくれる人なら、沢山いてくれるのではないか」と、県別対抗のチャリティゴルフ大会を思いついた。
孔明恒例の宮崎合宿に、初めて参加させてもらったのが、コロナ禍の気配が見え始めた今年の2月。
その後、男子ゴルフも次々と開催の中止が決まって、思いは加速。
「孔明さんにも相談して『いいね、やろうよ、協力するよ』と言ってもらえた」。
後押しを得て、スポンサー探しなど試作の開催にむけて平本が本格的に動き始めたのが6月。
「今までは、すでに用意された大会に、僕らプロゴルファーが『出場資格があるなら出ます』と、ただ手を挙げるだけでよかった」。
しかし、自ら企画し実際に企業に働きかけて賛同を得て…と、ひとつの大会を作り上げるのは、思った以上に骨が折れる作業と分かった。
それだけに、協賛してくださった地元・東広島市の運送業「ケーツー企画」をはじめとする多くのご協賛各社に対して「感謝の言葉しかありません」と、平本。
感染防止には細心の注意を払いつつ、無事開催にこぎつけた大会当日の感激は、ひとしおだった。
コロナが終息していれば、会場でジュニア教室を開いたり、地元ギャラリーに観戦してもらったりもしたかったが、そこはまた今後の検討課題。
協賛金と賞金の一部は、先の豪雨災害で被害を受けた各自治体に寄付される。
「賛同してくれた出場プロのみなさんにも、本当に感謝です。今後はこれを他の都道府県レベルに広げたり、ゴルフの新たな見せ方を模索しながら、少しでもゴルフ界を盛り上げていければいいな、と思っています」。
今月15日からは、孔明が公式動画チャンネルなどSNS上で開始する『九州豪雨災害チャリティオークション』に、平本も参加。
互いに持ちつもたれつ、助け合いながらこの難局の突破口を探る。