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川村昌弘のダイヤモンドウィ〜〜〜ク!! 【インド編】
欧州ツアー昇格1年生による、愉快痛快の珍道中シリーズの初回は「大好きな国、インド編」。
「国も好きだけど、インドの人はもっと好き」。
きっかけは、欧・亜ツアーで6勝を誇る41歳の「SSPチャウラシア」という選手の存在だ。
「ちなみに『SSP』は、すんごく長い名前の略称です」。
名前も境遇も”スーパースペシャル”なベテラン選手との親交が深まったのは、亜ツアー参戦4年目のこと。
長くイギリスの統治下におかれた影響で、実はインドとゴルフの歴史は「日本よりも古い」とは”川村解説”。
統治時代に作られたゴルフコースはどれも名門で、格式が高く、中でも1829年に創設されたという「ロイヤルカルカッタGC」は、その最上クラスに位置するという。
「ずっと回ってみたかった」。
2017年に、願ってもない形で実現した。
同年のアジアンツアー最終戦の翌週に行われたインド国内ツアーの最終戦「マクラウド・ラッセルツアー選手権」の会場こそが同コース、と知った川村が相談を持ち掛けたのが、チャウラシアだった。
「インドの試合は治安が悪いし、必ずお腹を壊すというイメージから、敬遠する選手も多いんです。だから『わざわざ出させてくれなんて言ってくるヤツは初めてだ』と、すごく面白がってくれて」。
すぐに推薦出場を取り付け、大歓迎してくれた。
開幕前夜には、クラブハウスディナーに招待してくれた。その夜、チャウラシア自らが語った彼の生い立ち談が忘れられない。
彼の父親は、同ゴルフ場に住み込みで働くコース管理のスタッフだったという。片隅の管理小屋で育ったチャウラシアも幼少期から、キャディとして働き家計を助けた。
「日本なら、ナショナルチームで活躍し、ジュニアの頃からプロツアーに出て、そこからQT行って、うまくいけばスポンサー契約を結んでデビュー…というのが今のほとんどですよね」。
だが、チャウラシアはプロになるまで一切の試合経験も持てなかった。
「97年にプロになったのも、ただお金が欲しかったからだそうです。なにもわからないままいきなり試合に出て、最初は国内ツアーで頑張って稼いで、世界進出。それから6勝もした。日本でいう叩き上げともぜんぜん違う。ずっと昔は違ったかもしれませんが、少なくとも今の日本にはそんなプロ、まずいないですよね? 僕は聞いたことがない」。
ストレートのウィスキーを片手にチャウラシアが語った出世譚に、川村は心を揺り動かされた。
「世界には本当にいろんな人がいて、それぞれの人生があり、文化がある。それを少しでも多く見て歩きたい」。
川村が、旅を続ける最大の理由もそこにある。
畏敬の念で、耳を傾けていたが、「ところで……今日はいつ帰れんのかな?」とその夜、川村がふと、内心つぶやいた頃にはすでに9時。
クラブハウスの瀟洒なレストランに集合したのは夜7時だった。そこから酒とつまみで延々2時間。ようやくメイン料理のカレーが運ばれてきて、さらに3時間。
夜中にやっと解散し、寝る間もなく早朝のスタートを迎えてわかったのは「インドの人たちは、みな食事がとても長いってこと。人生を楽しんでいるんですね」。
国民の格差が激しく、貧困層の問題は深刻でもインドには、他者への思いやりに溢れ、心豊かに人生を満喫している人がとても多いと知った。
その後も彼らとの交流は続いているが、昨今のコロナ禍で、インドはいまだ都市封鎖の真っただ中だ。
彼らの様子が気になって、ときどきSNSをチェックしてみるが、自宅トレーニングの動画をせっせとあげたり、日本よりもずっと不自由な状況下でも、みんな相変わらず愉快に過ごしているようだ。
「世界で活躍するインド選手は多いのですが、本当に逞しいですよね。早くまた、みんなに会いたい」。
同時に自分も負けてられない思いが強まるステイホームの毎日だ。
川村昌弘のダイヤモンドウィ〜〜〜ク!!
第1回は「大好きな国、インド編」。いかがでしたか?
次回は「大好きな大会、スイス編」です。お楽しみに!
<テレビ放送のお知らせ>
フジテレビでは、5月10日(日)午後4時5分から「ダイヤモンドカップゴルフ特別篇 華丸大吉 歓喜の瞬間たっぷり見せます&いま届けたいスゴ技SP」を放送します。
【MC】 博多華丸・大吉さん、
【ゲスト】 岡田圭右さん(ますだおかだ)、陣内智則さん、朝日奈央さん
【出演プロゴルファー】 浅地洋佑、中嶋常幸、石川遼 、 時松隆光、 星野陸也 、香妻陣一朗 、伊澤利光 、兼本貴司
【ゴルフ解説】水巻善典
<ゴルフネットワークプラスでも、昨年大会を振り返り!!>
昨年大会ハイライト!!