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コロナ禍の新人。清水大成はゲンちゃんの弟弟子
9歳でゴルフを始め、選手会長のげんちゃんこと時松隆光(ときまつりゅうこう)と同じ、篠塚武久氏に師事した。
金谷拓実と同学年の学生プロで、先月17日に22歳の誕生日を迎えた。
福岡県春日市の実家から、時松の自宅まで車でわずか20分。
「同門の源蔵(げんぞう)さん(=時松の本名)を目標に、ジュニア時代はよく一緒に練習させていただきました」と、6歳上の”兄弟子”同様に、パター以外のすべてのクラブをベースボールグリップで握り、器用に飛ばす。
「手をかぶせて握らないのでケガのリスクも少なく、思い切って振れる」と利点を生かしてジュニア期からプロの試合で活躍するなど、「大成くんは昔から上手かった」と、時松もその才能を認め、「日大に進学してますます磨かれた」と、清水を評価。
「今年から一緒の舞台でやれるので楽しみ」と、”弟弟子”の仲間入りを歓迎する。
「源蔵さんを初め、みなさんとても良い方ばかり。いつも親切にしてもらってます」と、先輩プロの期待を背に受け、「まずはシード入りが目標です」と、意気込む。
今はリモート授業で卒業単位を消化しながら、4月の開幕デビューに備えて鍛錬に励む。
平均300ヤード超の飛ばし屋だが「いつかメジャーで優勝したい。そのためにもまず飛距離。あと30ヤードは欲しい」と貪欲に、週4のトレーニングに打ちこむ。
「今は9割で振っているのを、6、7割で飛ばせるようになれれば安定感も出てくる」と、さらなるパワーアップを期して、黙々と汗を流す。
同学年の金谷のように、清水もまたアマ時代に、プロの試合で何度も優勝に迫った。
だが、一歩快挙に至らなかったのは「パターの違い」と、自己分析。
「拓実はパターを軸に、プレーのリズムを作っていくのがとても上手いが、僕にはかなりムラがある」と平均パット数の向上も、このオフの大事なミッション。
「拓実は海外でもどんどん場数を踏んで、ますます自信をつけている。僕も負けられないと思う。自分も頑張ろう、と思わせてくれる存在です」と、同学年のライバルを大きな道しるべに自らも、果敢にプロの世界に飛び込んだ。
昨2020年。進路を決する大事な最終学年は、新型コロナウィルスの影響で、ほとんどの学生試合も中止となり、消化不良のまま、プロ転向を決めたがツアーの出場権をかけた予選会もまた、昨年は異例の形となった。
わずか10枠を争う特別QTで、5位に食い込むことはできたが、せっかく取得した資格も2019年度のQT順位の間に組み込まれる形で、全体ランクは55位にとどまった。
「どうしようもないことですが、通常どおりの開催だったらと考えると、やっぱりモヤモヤしてしまう…」。忸怩たる思いは結果で晴らす。
「たとえチャンスは少なくても優勝さえできれば」と、コロナ禍の新人は逞しく、ルーキーイヤー早々の大成を目指していく。