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木下サンタの独り立ち(12月25日)

やわらかっ

プロ7年目の木下稜介が、12月25日の「奈良県冬季ジュニアゴルフスクール」で、1日講師をつとめた。2020年の出世頭がかつての学び場で、講義や実戦レッスンを通して地元奈良の子どもたちに、何よりの手本を示した。

本来は、”師匠”の谷口徹の年に一度の恒例行事である。
だが、コロナ禍の今年は、会場の「ナパラゴルフクラブ・一本松コース」から、車で約30分に住む木下が”代役”を引き受けた。

一期生として、自身も小6から入校し、香川西高校に進学するまで無遅刻無欠勤で通った元塾生。谷口が、初めて講師としてスクールにやってきたのは、木下が中3時だった。

「今まで、教えてもらう立場だった自分が、今度は谷口さんの代理として、教える立場で戻って来られたのは非常に嬉しい」。
初のレギュラー昇格を果たした一昨年にも、助手のOB講師として初めて子どもたちの前に立ったが、当時は谷口の隣で「自分が教えてもらいたかったくらい。まだ、自分のことで精一杯の時期でしたが、いま改めて、自分の成長を感じています」。

このたびの初の独り立ちには、谷口がいつも子どもたちのために、プロ仲間から集めて歩いていたクリスマスプレゼントを踏襲。
「僕も遼とか、金谷くんにもサインボールをもらってきましたよ!」と一人でも、立派に配り終えた。
「この中から、プロになる子が出てきて欲しい」との願いをこめて、講義に臨んだ。

いま取り組んでいるトレーニング法や、3年前から栄養士に指導を受けているスタミナアップ法、青春時代の後悔も赤裸々に。
「僕は、高校時代に毎日、学校から練習場まで毎日7キロ走って鍛えたけど今思うと少し失敗。体力作りには役立つけど、飛距離アップには長距離より短距離走。瞬発力を高めて。食事は1日4食で、パワーアップに努めて。本読みや、勉強もしっかりやろう!」。

経験を踏まえた講義が、子どもたちの興味をひいた。
屋外での実戦練習では、谷口から譲り受けた宝刀のウェッジを操り羨望を集めた。

「初めてスクールに来たときは、ひょろっとして可愛いお子さんでした」と、教え子の成長した姿に改めて目を細めたスクール主宰で恩師の杉本真美プロが、レッスン後に今後の継続的な講師就任を木下に打診。
「試合のない時は、喜んで伺います。ここまで育ててもらった恩返しになるなら」。
二つ返事で応えた。

コロナ禍の今年は、少ない試合の中でも急成長を見せた1年だった。
1月の「SMBCシンガポール」は日本勢最上位の6位で、全英オープン(21年に延期)の出場権を獲得。
また、9月から再開した国内5戦では、3試合でトップ10入り。「三井住友VISA太平洋マスターズ」は1差で初Vを逃したのは本当に悔しかったが、対象試合の獲得賞金ランク最上位の資格で、新年1月14日ー17日の米「ソニーオープン・イン・ハワイ」の特別選手枠に入るなど「勝てなかったですけど、活躍の場を広げられたのは自分で評価できる」。

子どもたちからもらったお礼の手紙や寄せ書きの中にも海外での活躍を期待するメッセージを見つけて、気が引き締まる。
「出るからには結果を」と、約束して辞した。
「予選通過はもちろん、来年の出場権が獲れるくらいの順位に入ることが目標です」。
来月7日にも、ハワイに向けて出発する。
「あまり時間がない」と、この日もこの足で、まっすぐ練習場へ。子どもたちの声を余韻に、近所のジムで大量の汗を流した。

  • プロに負けないっ
  • 後悔も正直に話す
  • みんな、励ましありがとう!
  • 今度はまた、谷口さんと来たいな

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