45歳が惑いながらもV争いだ。
近藤智弘（こんどう・ともひろ）が、通算9アンダーで決勝ラウンド進出を確実にした。

国内外の年下選手に紛れて5バーディ、2ボギーの「67」は「スコア的には満足ですが」。
内容に浮かないのは、１Wへの不安があるから。

22歳の2000年にプロ転向して、翌年すぐ初シード入り。
6勝を重ねたが腰痛の影響もあり、2017年から陥落と復活を繰り返してきた。

特に2020年に特定メーカーのクラブ契約を無くしてからは、道具選びに混迷してきた。

「右からフックを打つのが自分のスタイル。でも最近は大型ヘッドや慣性モーメントでつかまってくれない。右に曲がるミスはほとんどなかったのに、とんでもないミス」と、結果助かったがこの日も16番で右に曲げ、暫定球を打っている。

「ドローがフックになる分には全然いいが、スライスになるのはパニックになる。どこを向いていいのか。逃げ道がない」。

今季序盤はこれはの1本と巡り会い、5月の「ゴルフパートナー PRO-AM トーナメント」では最終日に自己最高の「59」。プレーオフの末に2位に入れた。

「勝てたら最高だったけど、自分が良いゴルフすれば、あの位置でやれるなという感覚が出た。歳を取ってから、今まで出したこともない50台も出て、大丈夫。自信を持ってやれるようになった」と、確信した途端に頼りにしていた１Wが先月、破損。

いちから逆戻りになった。

「同じものをと思っても個体差がある。シャフトも、ヘットも色々試して」。
とっかえひっかえする分だけ、おのずと練習球も増える。

「結局、先週は腰痛が出て。運がない」。
練習も控えざるを得ないという悪循環に陥っている。

「100点目指してではなく、これでいいか、ぐらいの感じにしないと体も壊しちゃう」と、自分と折り合いコースでは、１Wの代わりに3Wやアイアンも織り交ぜなんとかしのぐが「自信持って良いスコアという感じより、何となく上手くスコアだけ出た、そういうのも大事」。
これから決勝でも言い聞かす。

韓国とアジアと日本の3共催が3年ぶりに復活し、初の日本開催が実現した今大会は、主催者推薦を受けて出場。

「いつも回らない人達と回るのは、ぎこちなさもあるが新鮮な気持ちにもなれた。レベルも高い」と、海外の精鋭にまぎれて気持ちを保つ。
「お返しする意味でも一つでも上に行って、良い位置で回りたい。スコアメイクに頑張る」と、45歳が惑いながらも恩返しの活躍を誓った。

• 近藤 智弘