健夫が、2日連続でやってきたインタビュールームで、たったいま終えたばかりのラウンドに思いをめぐらせた。

ワンオン狙いの16番で、わずかにグリーンをとらえられず、アプローチは大きくオーバー。反対側のグリーンカラーに打ち込んだ。
この痛恨のボギーを、どこかで引きずっていたのだろうか。
それとも、この日ふと思いついて貫いた、プレースタイルのせいだろうか。

「今日は、逃げて逃げて真ん中、真ん中。徹底的に逃げてやった。こんなことは初めてだった。守りのゴルフを貫いて、少しは大人になった自分を褒めてやろうと思った矢先にこれだよ･･･」。

18番で、右にＯＢ。
風はフォロー。「けして、大きなミスをするような、難しいシチュエーションじゃなかった」。
それなのに、最後のティショットは思い切り振り切れていなかったような気がする。

後半、「年齢のせいか」疲れが出ていた。その影響で、集中力を欠いたのだろうか。
ダブルボギーを打って、3位に後退。
いずれにせよ、このミスショットでわかったことがある。
「俺が、安全に手堅くいくなんて、ダメなんだよな」。

新境地が開けたような気もしていたが、それも「1日だけの夢物語だったということ。バカは一生治らないってか！」。

打ち下ろしの1番パー4（368ヤード）では、51歳にして堂々ワンオンにも成功してあいかわらず豪打を披露しているし、「まだまだ、悲観するポジションではない」。

直道と最終日最終組での“兄弟・直接対決”こそ逃したが、「一つ前（の組）から、直道に脂汗をかかせてやりますか！」と、へこたれず、最終日はいつものジェットらしい攻めのゴルフに戻って、直道ら上位陣を追いかけていく。