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バンテリン東海クラシック 2022

もう泣かない。怪物ルーキー河本力が覚醒

若者たちの時と運命は、めまぐるしく巡る。

最終日の桂川VS河本の戦いは、ちょうど1年前にさかのぼる。


昨年の本大会で河本は、まだ日体大4年のアマチュアとして月曜日の予選会マンデートーナメントに挑戦。
だが、カウントバックで敗戦し、その足で急いで向かったのが同週開催のABEMAツアー「TIチャレンジ in 東条の森(兵庫)」。
同大会2日目に、通算2アンダーの33位タイにつけた河本から数えて5打差の2位タイにいたのが桂川だった。

その夜、共に卓を挟んだ夕食で「明日は桂川さんに追いつけるように頑張ります」と、冗談めかして言った河本は、翌最終日に本当に「64」で爆発。
ABEMA史上4人目(当時、現在は7人)のアマVを飾った。


あれから1年。今年はツアー1勝者として初出場を果たした三好で、再び桂川と競り合い今度はツアー2勝を飾るとは。


VS桂川(左)はこれからもたびたびありそう


今回は4差の2位で出て、前半9ホールで追いついた。
15番のイーグルで、2差のリードを得た途端に「緊張して…鼓動が凄かった」と、連続ボギーの17番はあわや右OB。
でも、林の2打目を上手く出すなど終盤の大重圧も乗り切った。

「去年はマンデーで落ちた大会で、かなり成長できているという思いもある。大人になって三好に帰ってこられたことも嬉しい」と、感慨深い。



昨年大会前週の「パナソニックオープン」では日体大後輩の中島啓太と最終日最終組で回り、大差で負けた悔しさも、忘れていない。
「ケイタの優勝が、僕に火をつけたのは間違いない」と、本気のトレーニングに着手したのはプロデビューを控えた今オフだ。


アマ期から「PGAツアーにも匹敵する」と、先輩たちにも言われていた飛距離は「武器にもなるが、凶器にもなる。去年の僕は凶器だった」と自認する欠陥を、死にものぐるいの体力強化で補い「飛んで幅に打てるようになってきた」と、今週もまた、1位を獲ったドライビングディスタンスの計測15番で初日に記録した378ヤードはまさに怪物級だ。


現在の心配事は、つい魅せたくなる自身の欲との戦い。
「お客さんが僕のショットを見て驚いたり興奮してくれたりすると、嬉しくなる」と、ついつい1Wを大振りしたくなるが、今週土曜日のドラコン大会での計測不能も教訓に、引き続き「大人の対応」を心がける。


「次は大変だよ、とみなさんに言われていたので。こんなに早く壁を壊せたのは嬉しい」と喜ぶ8月の初Vに続く2勝目は、2013年の松山英樹と20ー21年の金谷拓実に次ぐ史上3人目の“新人によるシーズン複数回優勝”の快挙(85年以降の記録)。

賞金ランクは6位に急浮上。
上位8人に出場資格がある2週後の「ZOZOチャンピオンシップ」にも大きく近づいた。


「アメリカ行って、失敗して帰ってきたやつが近くにいるので。行くタイミングを間違えるとそこまでメンタルやられるのか、と。勢いで行って、惨敗という情けないことはしたくない」と、姉の結さんの例も踏まえて慎重な姿勢を見せたが、近未来の目標は、河本自身も米ツアーの参戦。

「ウッズや、松山さんなどそうそうたる方が優勝している。ZOZOでまず自分のレベルを知りたい。そのためにも出場を目標に、来週も頑張る」と、気合いが入った。


今週も毎夜、共に好物のお肉をつついた中島から、初めての生祝福を頭から浴びた。
「ずっと僕がケイタを祝う立場だったので。ケイタのおかげで自分もここまで来られたけど今度は、僕がケイタに刺激を与えられたんじゃないかな。それが凄く嬉しいな」。
先々月末の初V時に泣きじゃくった怪物ルーキーに、もう涙はなかった。


ケイタに祝われた~~~!

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