男子プロの中にも教え子は多い。
プロ6年目の吉田泰基(よしだ・たいき)は、兵庫県・神戸校の出身者だ。
神戸市立塩屋北小学校3年時に、自宅近くの「デイリーゴルフスマウラ(神戸市垂水区)」での開校をテレビで知り、すぐ入塾。
厳格で知られる坂田先生の月イチの来校は、子どもながらに楽しみでもあり、ちょっぴり怖くもあった。
他の子たちにまぎれて最初はほとんど話せる機会もなかったが、先生との距離を少し縮められたと感じられたのは、小学5年から3年続けて参加した1月のタイ合宿時。
吉田たちが練習する隣で、人気ゴルフ漫画「風の大地」の原作を執筆しておられることもあり、「本当にお仕事されてるんだ…」と、感心したことを今も覚えている。
合宿にもとても格安で参加できたのも、執筆業などで稼いだお金もすべて遠征費や塾の運営費に投じられていたから、と思うと改めて感謝も増す。
塾で叩きこまれた基本打法「ショートスイング」は、今も吉田のゴルフの根底にある。
礼儀にも厳しく、両親と行った入塾面接での初対面では「親より先に座るもんじゃない」と、教わった。
挨拶やルールを何より重んじ、練習前には必ずみんなで「坂田塾8か条」を唱和。
1)隠し事をしない
2)嘘をつかない
3)約束事を守る
4)挨拶は大きな声できちんとする
5)お礼状を書く
6)ラウンド前30分、ラウンド後1時間はアプローチ・パターの練習をする
7)スコアを誤記しない
8)ゴルフノート・漢字・英語の書き取りを毎日する
吉田が今も必ずメモ代わりのスマホにその日の練習内容や、スコアや反省文を残すのも、当時から続ける習慣のひとつだ。
25日の報道で突然の訃報を知り、たいへん驚くと共に、「坂田塾がなかったら、僕はゴルフをやっていない。今の自分があるのは坂田先生と、坂田先生と一緒に神戸校の開校に尽力してくださった先生方のおかげです」と、吉田。
「僕もいつか、ジュニア育成などを通じてご恩を返せたら」。
コロナ禍の20ー21年にレギュラー昇格し、賞金シードに定着して3年目。
今季こそ初Vで報えるといい。