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カシオワールドオープンゴルフトーナメント 2005
高見和宏「ホールインワンを支えに頑張りたい」
開催前の賞金ランキングは94位。
昨年以上の成績を残さなければ今度こそもう後はない状況に、最終日はつい、何度も深いため息がこぼれ出た。
「短いパットを外すたびにね(苦笑)。そしたらね、キャディに叱られたんです。“ため息をつくな”って。“ため息をつくたびに、幸せが逃げるんだから”ってね」。
見れば同じ組の尾崎健夫も、高見と同じような状況に置かれながら、明るく振舞っていることに気がついた。
絶望的な場面を迎えてもなお、「容姿端麗で、ゴルフが上手い。・・・俺に足らないのは経験だけでしょ。あとはゴー・トゥー・カマモト(熊本)だよ」などと、報道陣にもおどけてみせたジェット。
いつでもユーモアを忘れず、前向きに取り組む先輩の様子にも励まされた。
「そういう姿を見てね、自分だけじゃないんだ、と」。
気持ちを入れ替え、迎えたバック9。
その瞬間、キャディがすかさず言ったものだ。
「ね、だから言ったでしょ」と。
まさに“笑う門には福来る”だ。
6番パー4で、残り103ヤードの第2打を直接入れてチップインイーグルを奪うと、225ヤードの8番パー3で、大会としては14度目の快挙を達成。
7番ウッドで打ったティショットは一瞬、逆光の中に溶けてそのまま消えた。
グリーンから聞こえてきたどよめきで、ホールインワンをしたのだと分かった。
結局、賞金ランクは96位に終わってシード落ちは確定したが、今大会49位賞金のほかにTBS提供のホールインワン賞50万円も手に入れた。
「来週のエントリーフィーを、稼いできました! やっぱり、明るく振舞っていればいいこともある。今日のホールインワンを励みに、また頑張れそうです」。
しみじみと語った高見は、賞金ランク78位に終わってやはりシード落ちを喫したジェットとともに、11月30日から熊本県で行われるファイナルクォリファイングトーナメント(QT)で、来年の出場権を争う。