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ANAオープン 2007
横田真一「シード落ちして良かったと、言えるように」
特にグリーン周りは厄介だ。
晴れた日は、ねばっこく絡みつく洋芝が「雨の日は、すべって低く、勢いの良い球が出る。それで今日は2つミスした」。
苦しみながらもアンダーパーをマークできたのは、「日ごろの行いのおかげです」と、したり顔でうなずいた。
“継続は力なり”は、「当たり前すぎて嫌い」と言った。
お気に入りは、そのさらに上を行く“継続は奇跡を生じる”。
「それのほうが、やってて面白いじゃないですか」と、自信たっぷりに微笑んだ。
プロ12年目にして、初のシード落ちを喫したのは昨シーズン。
どん底を味わって、新たな境地を見出した。
「生まれて初めて持った」という座右の銘は、京都紫野の大徳寺大仙院の尾関宗園・住職の著書の中に見つけた。
試合に出られない分、自分を省みる時間が増えて、体のこと、ギアのこと、メンタル、そしてゴルフについて徹底的に洗いなおした。
これまでは、オフにしか力を入れていなかったトレーニング。
今週、キャディをつとめる中居謹三さんに、毎週のようにわざわざ自宅まで来てもらって一から鍛え直した。
「やればやっただけの甲斐がある。奇跡は起きる」と実感できたのは今季チャレンジトーナメントで2勝をあげたとき。
来季の出場権をほぼ手中に入れたら、次は「本物の奇跡」を起こす番だ。
ツアー初優勝をあげたのが、98年の今大会。
懐かしそうに振り返る。
「あのときは、ハイテンションで最終日のティに立った」。
優勝争いがただただ楽しくて、その勢いのまま頂点に立ったが、さまざまな経験を積み、怖さを知り尽くしたいまも同じ心境で臨めるとは到底思えない。
「でも、あのころを追っかけてもダメだから。明日は、あの頃と違う気持ちでやる。そして、さらに強くなった自分を見てもらいたい。シード落ちして良かったと、いえるような戦いをしたい」。
最終日を前に、決意を語った。