今季初シードの岩田は、片山晋呉もその実力を認める若手有望株のひとりだ。シニア認定プロの父・光男さんに仕込まれたゴルフは申し分ない。ただ欠点は「気持ちをコントロールできないところ」とは、本人が認めるところだ。

先週のＵＢＳ日本ゴルフツアー選手権 宍戸ヒルズ２日目に、５番でトリプルボギー。これで一気にやる気をなくした。
状況判断も、番手選びもいい加減。ラインもほとんど読まずにパットを打つ。
そのせいでさらにボギーを重ね、ついに14番パー４で「９」を打った。

その週のキャディの関根淳さんは、深いラフからひとまずフェアウェーに戻そうと言ったが、本人は「狙う」と言い張った。関根さんは「また投げやりになっている」と感じたが、本人が決めたことだからとウッドを手渡した。

しかし、ショットは案の定、正面の木に当って万事休す･･･。

続く15番もダブルボギーを打って、ついに普段はいたって穏やかな関根さんの堪忍袋の緒が切れた。
岩田が、これまで聞いたこともないような厳しい口調で関根さんは言ったのだ。

「残り３ホールを全部バーディで上がったら、予選通過できるかもしれない。最後まで諦めずにしっかりやろうよ」。

これでようやく目が覚めた。
16番、18番でバーディを奪い、通算７オーバーは決勝進出とはいかなかったが「あの３ホールが今週のゴルフにつながっていると思う」。

今週から新しくバッグに入れたドライバーは、後半から「つかまりすぎて、左へ左へ」。
それでも、どうにか堪えてボギーをひとつに留められたことが何より物語る。
「今週は、最後まで気持ちを切らさないでやりたい」。
単独３位の好スタートはムダにしない。

• 岩田 寛
• 片山 晋呉