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サン・クロレラ クラシック 2007
暫定4位の尾崎健夫「悪い流れを断ち切れたのは・・・」
仕切りなおしのこの日2日目。
朝は4時起き。6時半から再開した10番で「普通なら寄らないようなところからアプローチで寄せた」。
これに気をよくして残り9ホールで3アンダー。
「これで、攻める体制が整った」。
ほとんど休む間もなく突入した2ラウンド目。53歳の反撃が始まった。
ここ小樽で前半の9番から怒涛の6連続バーディは、一気に暫定2位タイ浮上だ。
前日までの悪い流れを断ち切れたのは「3アイアンのキレ」と、胸を張る。
ここ小樽カントリー倶楽部はツアー史上最長の7535ヤード。飛ばし屋のジェットでさえ「びっくりするほど長い」と息を吐く。
「ドライバーを思いきり振ってもミドルアイアンの距離までいかない。苦しいホールが、3つほどある」。
そこで威力を発揮したのが3アイアン。
今では、ほとんど使う選手はいないといっていいだろう。
パワーとヘッドスピードに加え、ボールを芯で捉える技術がなければ使いこなせないからだ。
それだけに、手ごたえのあるショットが打てたときの喜びは大きい。
「しっかり振り切ることで、ドライバーのキレにもつながっていく。自信にも、つながるからね」。
だからこそ復活をかけた今季、7年ぶりに持ち出した。
しかし、こうして距離が長い上に北海道特有の絡みつくラフには、ジェットが「最近はやりの化学兵器」と呼ぶフェアウェーウッドやユーティリティアイアンなどを使ったほうがやっぱり易しいかもしれない。
「そう考えて、実際に2本ほど持って来てはいたんだ」と、打ち明ける。
確かに、それらは扱いやすい。「軽く合わせて、簡単に乗せられる」。
しかしその手軽さが、「スイング全体に影響することもある」と、自身に及ぼす弊害もジェットには見逃せなかった。
この難コースを前に、直前まで悩みに悩んだ。
「10回ぐらい心が動いたが、やっぱり7番ウッドとユーティリティはロッカーにしまっておいた」。
この決断が、奏効した。
「今日は3アイアンでピッピッピっ・・・とね!やっぱりこれがゴルフの原点だと気付いたし、使い心意気が大事なんだ」とベテランは、得意満面。
「昔の自分に、戻った気がするよ!」。
シード落ちを喫して4年目。
「この年では、最近ツアーでよくあるサディスティックなピンポジションについていくのも億劫でね」と苦笑するが、課題のパッティングもここにきて復調傾向。
「しっかりヒットできている」と、ほとんど死角も見当たらない。
「このコースではフェアウェーに行ったとき、3番アイアンの距離をきっちりと、ボギーを打たない場所に確実にショットできる。そういう選手が優勝できると思っている」と、ジェット。
まるで、その選手こそ自分だと、言わんばかりの口調だった。