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ベテラン勢は明暗ジェットも今季は出場困難に・・・

今年のファイナルQTは、ツアー優勝経験のある選手の名が目立った。
特に、ツアー通算15勝の尾崎健夫や、同7勝の東聡、湯原信光、同5勝の芹澤信雄らは長年、トッププレーヤーとして活躍した者たちだ。
ベテラン勢が、この生活をかけた戦いへの参戦を余儀なくされた大きな要因は、規定の変更にあった。

これまでは何度でも適用できた『生涯獲得賞金25位以内』というツアーの出場カテゴリーが、昨シーズンから1年1回限りしか使えなくなった。

その権利を昨年までに行使して、かつ賞金ランクで上位70人に食い込めなかった場合には、ファイナルQTに行かざるをえない。
ベテランたちの今後の生活と、最後のプライドをかけたシビアな戦いに、明暗が分かれた。

ツアー優勝経験がある選手のうち無事、今季前半戦の出場権を手にしたのはファイナルQTランク2位に入った水巻善典や同6位につけた白潟英純、13位の井戸木鴻樹、22位の東聡、30位の原田三夫ら。

東(=写真上)は「パットで手が動かなくなって・・・。カップに入れる、というよりは寄せていく感じになってしまった。疲れた。こんなに長くかかった予選会。前の予選4日間より、今回の決勝2日間のほうがよほど長く感じたよ」と、ぐったりとした中に安堵の色をにじませた。

その一方で、涙を呑んだ者も多かった。

ツアー2勝の経験がある高見和宏はランク50位に終わった。芹澤は、通算1オーバーの53位。
ツアー1勝の桧垣繁正は58位。尾崎健夫は65位だった。
通算1勝の平石武則は77位、湯原は84位で競技を終了。
いずれも今季のツアー出場は、難しくなった。

高見(=写真中)は、「とにかく調整不足。ゴルフにならなかった。もう少し、ラウンドを重ねておけばよかった。出られる試合で頑張るしかないね」と、うなだれた。

尾崎健夫(写真下)は先月から坐骨神経痛に悩まされ、この決勝ラウンドでも思うようなゴルフができなかった。
前日第5ラウンドの65位から巻き返しを狙った最終日も、低迷したまま。
今季は、主催者推薦が受けられる最大8試合ほか、限られたチャンスの中で復活を目指すしかなくなった。「それでももう1回、何がなんでもレギュラーで、という意欲もないし・・・。チャンスがある限り出場させてもらって、あとは米シニア。そっちの選択が濃厚になってきたな」。

米シニアのチャンピオンズツアーは、今年11月に予選会が行われる。
「それを受けに行くというのが自然な流れになるんだろう。ショットは、若いもんには負けないが、パットがあれじゃあ・・・。まあ、これからはのんびりとやらしてもらいますよ」。
さばさばとした表情の中に、わずかな寂しさものぞかせながら、ジェットは決勝ラウンド会場のくまもと中央カントリークラブを後にした。

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