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ゴルフ日本シリーズJTカップ 2011
3位タイに後退した藤田寛之は「今日はプラスマイナスゼロ」
とは言いながらも練習の虫は、やっぱり上がるなり、急ぎ足でレンジに向かった。
しかし結局は、諦め顔でクラブハウスに戻ってきた。特に、後半は右にすっぽ抜けたようなショットが多発して、苦しんだが「原因不明。練習しても、分からないので途中でやめて、帰ってきました」。
連続ボギーを打った16番も、ティショットを右の傾斜に打ち込んだ。そこからの2打目は「凄いダフった」と、バンカーに入れた。さらに3打目は大きくグリーンを越えて、また奥のバンカーに。アプローチも寄せきれず、6メートルのボギーパットが残ったが、これをしぶとくねじ込んだ。
「ああいうのに助けられている」と胸をなで下ろす。「ほんとは今日は、4オーバーのゴルフ」と、苦笑した。
「でもアプローチとパターで4アンダーなので。プラスマイナスゼロ」と、どうにかパー70で、まとめてきた。
「明日、また朝起きてみないとどうなるか分からない」と突然のショットの乱れも未解決のまま迎える第3ラウンドは、不安には違いないが、「明日になれば、また変わると思う」と珍しく、プラス思考は昨年、ここでツアー通算10勝目を達成していればこそ。
昨年は、最終日に激しいバトルを繰り広げた谷口徹と、今年は2日目から早々の直接対決。ラウンド中に、「今週は、最年長ですね」と、ひとつ上の43歳に声をかけたら、「いや、気持ちは若い」と一蹴された。
むしろ、「見た目は、松村(道央)のほうが老けてるやないか」と、自分の愛弟子の名前を挙げて応酬してきた。谷口の気分を害した気がして、藤田も慌てて「そうですよね」と、賛同した。
「そうやって、喋ってくれるうちは、まだ谷口さんは本気じゃない」と、顔色を伺いながらも、「僕が良いショットを打つと、谷口さんがさらにその内側にキュっとつけてきたり」。胸の底にたぎる谷口の、リベンジへの思いを垣間見るにつけて、藤田もまた連覇に向けて、「とにかくベストを尽くす」と、気合を入れ直した。