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〜全英への道〜ミズノオープン 2012
上田諭尉(うえだゆい)が単独首位に
ミズノ契約の上田が、このホスト試合で5年ぶりのツアー2勝目にむけて、絶好の位置につけた。
4番で泥のついた第2打が、3番アイアンで飛びすぎた。グリーン奥からのピンチも、あわやチップインのアプローチでしのいだ。最後の18番は、チャンスのパー5で週末の課題も拾って帰ってきた。
「せっかく良いところにティショットを打ったのに。セカンドで左の池をビビって右にフケた。勝つ人は、ああいうところでしっかりと取る。今日もあそこが取れていたらパーフェクトだったのに」と、悔しがる。週末こそは、と気合いが入る。
クラブに全幅の信頼を置いている。「僕はたとえば9番アイアンなら、135ヤード。狂わずに飛んで欲しいんですが、今年は今まで以上に最高のアイアンを作ってもらった。感謝ですね」。
だからなおさら、契約を結んで6年目になる、スポンサーへの思いも募る。
同時に、まだ見たこともないリンクスコースへの思いも。同じトレーナーの秋山武雄さんのケアを受ける縁で、谷口徹と時間を過ごすことが多い。風呂場の脱衣所で受けるゲキは、ことのほか刺激的だ。
先週の全米オープンの話も聞いた。
「お前ならあのコースで80くらい打つんと違うか」と言われて、へこむどころか奮い立つ。「俺もいつか絶対に行ってやる!」。
上田がいつも目を剥く谷口のパッティング。
「あんなに強く打って。返しを外したらと思うと怖くないのか」と聞いても谷口はこともなげに言うのだ。
「外したら、しゃーないやろう」。
「・・・俺はとても、そんな境地にはなれない」と思うにつけても、ベテランの勇気に畏怖の念が高まる。
3週前から、谷口のスイングをまねして素振りをするようになった。
「谷口さんは、なんであんな体の近くでクラブを振り抜くのか。不思議に思って試してみたら、ショットが凄く良くなって。ああ、こういうことだったんだ、と」。ひらめくものがあった。
調子が悪くなるとつい、体から離してクラブをあげて、左に曲げがちだったのがなくなった。
「ミスっても、コースの中にはいてくれる」。厳しいコンディションでも、怪我の少ないゴルフが出来るようになったという。
40歳も半ばを迎えて、ますます元気な極意を「見て盗んだ」と、胸を張る。
恩返しと全英オープン。二重のプレッシャーには「まだ折り返し地点」と、気が引き締まる。「僕はここからバテがちなので。いま調子が良いし、自分を信じて頑張る」。週末こそ谷口の強気な姿勢を見習う。