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日本プロゴルフ選手権大会 日清カップヌードル杯 2012
小田孔明が2位浮上
と、いきたいところだったが、この日は朝からしかめっ面で出て行った。
昨晩あたりから、違和感を覚えた首周辺の筋肉は、この日、ベッドから起き上がった瞬間には「もう、肩なのか、首なのか。麻痺してどこが痛いのかもわかんない」。
少ない時間で電気、鍼と現場でできうる限りの治療を施したがスタート前の練習場でも「全然打てない」。
棄権も頭をよぎったが、「今日の風は難しいし、ミスしても風のせいに出来るから」と、むしろ気楽に出ていったのが良かった。
いざ、スタートしたら「なぜかまっすぐしか行かない」と、さっそく1番でバーディを奪った。
「痛くて頭が上がらないから、自然とパンチショットになる」と、もともと低い弾道は意図せずともいっそう冴え渡る。強風を切り裂いていく。
地を這う風は「スライスラインが、フックになる」と、グリーンの傾斜にもいたずらをした。
「フォローの風なら、上りでも加速していく」と、スピード感も狂わせたが、「タッチを合わせていくしか仕方ない。難しいからパープレーでいい」と、首の痛みの分も足し算して、気負いなくラウンドできたのが良かった。
この日、アンダーパーで回った3人のうちの一人が小田だ。
最終組のうんと前に、そのとき首位の深堀とは4打差でホールアウトしたが、難条件でのベストスコアは2アンダーの70が効いて、あれよという間に差は縮まった。2位タイまで上がってきた。
首位とはたった2打差だ。
一瞬、きらりと光らせた眼光をすぐさま消して、「行きませんよ、僕は」と、いなした。
「この体ですから。別にいいっス。下心を出さずに自然体で回る」。ツアー通算6勝目にむけて絶好のチャンスにも、ひたすら無欲を強調していた。