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三井住友VISA太平洋マスターズ 2013

小田孔明が目指すは1億円越え

スタート時に着ていたフードセーターは、すぐに脱いでしまった
雨の御殿場。おまけに、厳しい冷え込み。「今日は耐えればいいかな」と、気持ち静かに出ていった大会2日目。「今日は4打は得したね」。
その最たるのが最終18番。チップインのバーディ締めも「あれはグリコのオマケ」と苦笑した。

92ヤードの3打目は、「サンドで打ったら100%、戻ってくる」と用心深く、握り直したピッチングウェッジは、それでもヒヤリとした1打。

いったんグリーンを捉えたボールは、傾斜を下って池に向かって戻って行った。小田の顔色が青ざめた。雨濡れそぼつ芝に、救われた。池に転がり落ちる寸前で、止まった。小田の顔が晴れた。さらに命拾いをしたアプローチは、11ヤードの4打目が直接カップに消えれば、最後は満開の笑顔で締めくくることが出来た。

15番では左に曲げたティショットが木に当たってフェアウェイまで戻ってきた幸運にも恵まれ「今日は、ラッキーだらけですよ」と、2打差をつけて抜け出した。

この日は、若い2人に何度か聞かれた。「孔明さん、寒くないんスか?」と藤本も松山も、心配するというよりは、揃って信じられないといった口調で言われて言い返す。
「寒いよ!!」。
足下から底冷えのする寒さも、アンダーウェアの上にポロシャツという薄着で通したのは、「着すぎて体が回らなくなるのが嫌だから」。この寒さでただでさえ体の動きが悪くなるのに、その上からセーターやらレインウェアやら、重ね着すればするほど、自慢のアイアンのキレも無くなる。

それでも、カイロくらい携行してはどうか、と思うが貫禄たっぷりの腹の肉をつまんで「俺にはこれがあるから」。誰が名付けたかヒートテックならぬ“ミートテック”は、「それいいね!」と、本人もお気に入りで「僕はミートテックがあるから!」と、週はじめの風邪引きもどこへやら。この日も若い2人に挟まれて、35歳が気を吐いた。

目下、目標は1億円越え。現在、獲得賞金8600万円余に「優勝して早く越えたい」との思いが、次の2勝目(今季)をかえって阻んでいるのか。

思えば悲願の日本オープンから始まっている「負のスパイラル」も本人は、それも要因のひとつと思っているようで「これだけ負け続けると、そう思いたくもなる」と苦笑いで「意気込んで、いい結果になっていない。今週は、今日までの調子を崩したくない」と、このまま静かに攻めていく。

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