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日本プロゴルフ選手権大会 日清カップヌードル杯 2013
藤本佳則は譲れない日本タイトル【インタビュー動画】
いつもの笑顔も消え失せた。夢中でコースと向き合った。そして「気がついたら3連続バーディを取っていた」。最終18番。手前のラフから10ヤードのアプローチ。ボールがカップに沈む前から、パターの左腕を突き上げた。照れ笑いで「ノってましたね」。やっと最後にビリケンスマイル。上がり3ホールの鮮やかなバーディ締めで、一気に首位に躍り出た。
同じ奈良県出身の谷口徹に、「後継者」として指名を受けたのは、昨年。
デビューから5戦目の初Vが「日本ゴルフツアー選手権 Citibank Cup ShishidoHills」。国内メジャーとしては、最速の優勝を飾って白羽の矢が立てられた。
しかし、今季は開幕からなりをひそめて苛つかせた。「あいつが行かんから、やっぱり俺が行こうと思ったくらい」と、業を煮やした谷口。藤本を呼び出したのは今週の月曜日だ。
東京・六本木の高級寿司店でこんこんと、「帝王学をたたき込んでやりました」。藤本も脱帽の最敬礼で、「はい、肝に銘じてやりました!!」。
この日はスタートの1番で、いきなりの大ピンチ。ティショットを右に曲げて林の中から思案顔。「隙あらば、前へ前へと行きたいタイプ」。
ぐっと堪えた。「ひとまず、横に出そうと思えた」。174ヤードの3打目は、7アイアンで1メートルにつけて「パーで行けたのが良かった」。自分を褒めた。「スポーツは、冷静さが凄く大切なスポーツだから」。現場でそんな判断が出来た自分。「成長出来ていると思う。メンタルも、非常に良い状態だと思います」。
国内4戦目にして、心技体が揃った。「ショットはずっと良かった」。課題はパットだった。「それさえ良ければこういう位置にいられる自信はあった」。打ち方、構え方は問題ない。「難しいのは読み方」。今週は総武カントリークラブで、グリーンのクセをいち早くつかんで、「自分のモノに出来たのは大きい」と、この日は5番の9メートルや、16番は奥から7メートルなど、長いバーディトライに加えて、14番では1.5メートルのパーパットなど、きわどい距離をことごとくしのいだ。
谷口も、自分のことのようにうなずく。「ショットが相当いいんだろう。パットも相当入れているはず」。藤本に口を酸っぱくして言ったのは、「超一流なら毎週、優勝争いするもんだ」。先輩の言いつけを守って、V争いに加わった。
4打差の4位タイには、東北福祉大の後輩。デビューから4試合目の松山英樹が、もし今大会を制したら、自身が持つメジャーの最速記録が塗り替えられるが「いずれ抜かれるもんなので」と、気にしない。
「抜かれようが何しようがどっちでもいい。それより、勝ったもんが凄い」と、譲れないのはプロ日本一のタイトル。「自分はスコアが伸びないコースで、力を発揮出来る」という自信を糧に、頂点だけ見て歩く。