Tournament article
マイナビABCチャンピオンシップ 2014
追う藤田が“代打の神様”に感銘
チームを組んだのは、元阪神タイガースの桧山進次郎さんの噂はかねてより聞こえていたが、「これほどとは思わなかった」と、目を見張る。
藤田の独特のスイング。特徴的なフィニッシュも、「自分の野球と相通じるものがある」と崇拝する桧山さんは、見よう見まねでそのスイングを研究し尽くして、その再現ぶりにはキャディのピーターさんも目を見張るほど。
「いや本当に、これほど自分に似ているとは思わず」。自身もリトルリーグで汗を流した。憧れの野球界で、昨年まで第一戦で活躍していたトッププロから「今日は藤田さんとのラウンドということで18ホール、終始ドキドキしていました」などと言われれば、この上ない喜びだ。
また、ホールアウト後は2人並んでの記念撮影の最中に「桧山さんのほうが、年上ですよね」と言われれば、「何なに? 僕のほうが若く見えるってこと?!」と、どさくさに紛れてニッコリ。
「桧山さんもかなり若く見えますけど、でも実は僕と同い歳」と、ちょっぴり得意げに打ち明ければ、いよいよ開幕を目前に、45歳の気分もアガる。
昨年はケガもあり、「ここが選手の曲がり角か」と一時期は絶望した経験も経て、再び2年越しにまた賞金レースの渦中にいて浴びる羨望の眼差しも悪くない。
桧山さんにも聞かれて答えた。自身2度目の賞金王への意気込みは「今はまだ、しゃかりきになる時期じゃない」と、そこはかとなく漂わせる余裕。
賞金王を優勝争いにたとえて「今はまだ、ハーフターンをしてようやくバックナインに入った辺り」。勝負を仕掛けるのにはまだ、早い。V争いの上がりの3ホールのように「賞金王争いも、残り2、3試合あたりまでは、淡々と積み上げていくことが大事」と藤田は言う。
しかし、一方で賞金王争いが、優勝争いと違うと思うところが一点。「追う立場よりも、追われるほうが楽ということ。コーナーを曲がるときに、先頭集団の良いポジションをキープしておくことも大事ですね」と、賞金レースでも同様に、虎視眈々と緻密なゲームプランを立てるベテランは、「最後まで楽しみたい45歳」。今週も、孔明と大会を盛り上げる。