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関西オープンゴルフ選手権競技 2014
初の逆転V7、小田孔明が第80代のチャンピオンに【インタビュー動画】
「今までにない勝ち方。嬉しいには嬉しい」。しかし最後のガッツポーズはどこか中途半端な形になった。藤本佳則は、同じマネジメント事務所の後輩だ。「正直、やりにくさがあった」という。新婚初Vを狙う藤本は、秋に奥さんの出産を控えて「勝たしてやりたい気持ちもあったので」。気まずい思いで表彰式に座った。ただ、かたわらの藤本の膝をポン、と叩いて互いの健闘を労うしかなかった。
オフの宮崎合宿でもあえて地元九州の若手を集めて、世話を焼く。今年は13人を相手に「こいつらには負けられないとか、パワーをもらうというのもあるけれど。それより教えてあげたり、何かしてあげたい。年下の面倒を見るのが好きなんです」。気は優しくて力持ち。仏の小田はこの日の最終日はスタートで、早々に5打差をつけられたこともあり、なおさら「今日はヨシの日だ、と他人事。自分が勝つとは思っていない」。
花道は、可愛い弟分に譲るつもりだった。雲行きが一気に変わったのは16番だった。藤本が連続ボギーを打って、「ヨシは、緊張しはじめたように見えた」と、かわりに自分は4㍍を拾ってついに藤本を捕らえて「ここは勝負の世界。勝てるときには勝つしかない」と、心を鬼に。
最後は容赦のない一撃でねじ伏せた。首位で並んで迎えた18番パー5。残り248ヤードの池越えの2打目はアゲンストの風に、「5番ウッドでちょうど良い距離。合わせに行ったら余計に曲がる」。あとから打つ藤本にプレッシャーをかけるためにも「行ったれと思った。振りちぎった」と、渾身の1打は手前2㍍についた。土壇場の劇的イーグルで、とうとう後輩を蹴落とした。
「ボギーを打っても、たとえ勝てなくても、絶対にゲームは捨てない」。今年のテーマだ。「1打でも少なく上がる」。その執念は数字にも出ている。目下、平均ストローク1位。今年開幕から4戦で、オーバーパーを打った日は、わずか1日。4日間合計なら、まだ一度もない。
「どんなコースでも、アンダーパーで回れば、必ず上位に行ける」との信念で、開幕から3戦連続のトップ10入り。「1円でも多く稼ぐ」と、鋭い視線の先にはかねてより公言してきた賞金王獲りがある。
それと、昨年は最終ラウンドを前につい涙を流してしまうほどに恋い焦がれた日本タイトル。昨年は、小林正則にその座を譲った日本オープンは、「本当に悔しかったし、リベンジですね。今年も最大の目標です」。どこまでも日本一にこだわる。
「とりあえずその2つを獲らないと。日本の頂点に立たないと、海外に行こうという気持ちもなれないので」。孔明の天下取りが始まった。