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ミュゼプラチナムオープンゴルフトーナメント 2015

孔明が8位に浮上

初日は予選通過もどうか、という位置から出た孔明が、2日をかけて優勝もどうか、というところまで順位を上げてきた。次週は全英オープンを控えて、リンクスコースにむけて、何よりの試金石にもなった。この日3アンダーで折り返した10番。362ヤードのパー4は、残り108ヤードの2打目。

「あれは完璧やった」。それまでの51°を、先週から52°のウェッジに変えたのは、全英オープンに備えてのこと。「今までは、な〜んか飛びすぎていて。100から110ヤードの間の調整が、出来ていなくて全部オーバー」。
それがわずかに1°ロフトを寝かしただけで、劇的な効果があった。まさに10番がそれで、「ピン奥3ヤードに落ちて、いい感じで戻った」。と悦にひたる間もなく、ボールが消えた。パー4のイーグルで、やにわにリーダーボードに名前を乗せた。

そこから4つのバーディで、「最初は全然考えていなかった」という優勝の可能性も、見えた途端のボギーは痛かった。自身の記録もかかっていた。今までの自己ベストは64。「いま、2つも縮んでるやん!」と気づいた途端に、頭に沸いた雑念。

最後の18番の2打目はボールに泥がついていた影響もあるが、「左からフェードで行きたい」と、グリーンに打ったボールはそのまま左に飛んでって左奥のセミラフへ。寄せきれず、2メートルのパーパットも逃した。
「62のまま上がりたい」などと、そんな余計なことが頭をよぎった瞬間に打った最後のボギーには「弱いわ〜、メンタル」。
思えば、3ラウンド目の18番は孔明には鬼門。今年は9試合中6試合でボギーという結果に「そういえば・・・」と、思い起こして顔をしかめた。
63でも立派に自己ベストの更新でも「62で行ければいいなと思っていたので、ショック・・・」と、まんまと一歩後退には「6打差は、厳しいでしょう」と逃げ切りの孔明との異名を取るからには少々不利な展開も、「全英オープンの前に、1打1打確認して良い形で回れれば」。

次週は全英オープンを控えて、今週は休んで早めに現地に入るというプランもあった。周囲にもそんな意見の人が多かったが、強行軍を承知で今大会に駆けつけたのは「これが最初の試合。新しい大会を大切にしたかった」。
今年新たに誕生したミュゼプラチナムオープンは、大会のホストプロをつとめる小林正則も、孔明のエントリーを喜んでいた。「藤田さんも、勇太も孔明も、全英オープンがあるのに、出てくれるって。いや、出てくれるっていう言い方も、僕ら選手にしてみれば、おこがましいんだけど、でもね。来週にメジャーを控える中で、この新しい大会を盛り上げたいっていう3人の気持ちが、僕は凄く嬉しかったんです」(小林)。
初日に出遅れた孔明が、2日目は65で執念の予選通過を果たしたのも、「少しでも協力したい」という大会への熱い思いがあったから。
最終日の翌月曜日には、ヒースローに向けて慌ただしく羽田を発つが、その前に「試合をやって、良い形で入りたい気持ちもあったから」。聖地の前に、ここ兵庫県で賞金王がまたひと暴れする。

昨年は関西オープンでツアー通算8勝目を皮切りに、つるやオープンで9位タイ、日本プロで2位タイ。マイナビABCで2位タイといずれも兵庫県での開催で、好成績が続いており「今週は、初日がダメで。何でダメなんだろう、と思っていたら乗ってきたので、やっぱり!と」。
友人、知人が多いこの地では、逆にプレッシャーでがちがちの地元福岡よりも、むしろ「アウェイな感じがしない」と、たとえ苦手コースでも、伸び伸びとプレーが出来るから不思議だ。

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