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レオパレス21ミャンマーオープン 2018

川村昌弘がV争いで噛みしめる幸せ

奥さん迎えに行っといで!
灼熱の太陽に照らされて、生命力のたくましいミャンマーの芝生は、刈っても刈ってもじゃりじゃりと音が聞こえてきそうだ。クセがすごいグリーンは、ラインを読み切ってもどんなにタッチを合わせても限界がある。
「常に入らないと言いながら、バーディパットを打ってる感じ」とやっと沈めた1番や18番も「なんとか4メートルくらいのが入って。今日はそれが一番長い」と苦戦こそすれ「バーディパットを打てていること自体が、僕には幸せ!」。

アジアンツアーはシード陥落。第二シードの賞金ランク71位にはなんとか入った日本ツアーも昨年は、「毎週が、カットラインとの戦い。そういう距離のパーパットばかりを打っていた」。
予選ギリギリの位置で2日目を迎えることが多くて、「去年は金曜日が僕の勝負だった」と、苦い1年を思えば、第2ラウンド終了時点で3位タイにつけた先週のシンガポールも、今週は通算7アンダーで決勝ラウンドに進んだこの日も至福の金曜日である。

この日は豪州キャディのゲーリーさんの奥さまがもうすぐヤンゴン空港に到着するとのことで、知らずに練習場に行こうとした川村に「無理無理無理、時間がない!」。
1時のシャトルバスで帰って妻を迎えに行くというゲーリーさんにも快く午後からお休みをあげて、自分はセルフバッグでのんびりと、一人練習場に居残った。

3年目のミャンマーは、最初予約していたオフィシャルホテルのノボテルヤンゴンマックスをきゅうきょキャンセルして別の選手に譲ったのは、表向きは「毎年、同じところで飽きたから」と説明していたが、実は幼なじみのためだった。

ファイナルQT17位の資格で開催直前に出場権を得た同級生の竹内廉(たけうちれん)がホテルを取れずに困っていた。それなら、自分が別のホテルに移るよと、市内の「メリヤ・ヤンゴンホテル」を2部屋押さえてスポンサーの三菱商事のハイヤーで、毎日一緒にコースを往復している。
「廉くんがミャンマーで路頭に迷ったらいけないので」。
仲間思いの24歳が、今年はさっそく初戦からV争いだ。

「先週から2試合続けて2日終わって上位にいられるのは大成長。復調の兆しがある」。
2013年にツアー初優勝を飾った「アジアパシフィック パナソニックオープン」もまた、日亜共同主管の大会だった。
両ツアーのシード権が得られる今大会で2勝目ならまた大好きなゴルフをしながら世界旅行に出られる。
「V争いも久しぶりなので。緊張するとは思いますけど、それも去年までを思えば幸せなことですね」。
噛みしめながら週末に挑む。

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