Tournament article
フジサンケイクラシック 2020
小田孔明が、大会初Vを捧げたい人
しかも、通算6アンダーの首位タイだ。
「まさか。珍しい。出来すぎですね」。
この2日は、若い飛ばし屋2人と同じ組。特に24歳の池村寛世(いけむらともよ)は「異次元。6、70ヤードも置いていかれた」。
でも「気にせず、飛ばなくてもいいから、フェアウェイに置いて、アイアンが切れているのでしっかり振る。自分のゴルフができていた」。
キレのショットで、チャンスにつけた。
「獲れるところで獲って、耐えるところで耐えて。あとは体力勝負」とベテランの意地。
ボギーなしの66で浮上した。
8か月ぶりのツアー再開初戦。
孔明が、頑張りたいのは自分のためだけではない。
プロキャディの児島航さんが、今大会を最後に引退する。
本当は初タッグの今シーズン、すべての試合でバッグを預ける契約だった。
だが、コロナ禍で次々と試合が中止に。
職を失った児島さんは、空いた時間にコンピューターのプログラミングに没頭。
「今までこれほど打ち込めることはなかった」と、このほどIT関連企業への転職を決めたという。
歴12年。韓国の金庚泰(キムキョンテ)や豪州のBジョーンズを担当して”10勝”。児島さんの明るい性格と、確かな仕事ぶりを孔明も、信頼していた。
引きとめたが「年齢的にもギリギリ」と、児島さんの決意は固かった。
「彼も37歳。人生もある」。
コロナがいつ収束するともしれない状況で、無理強いするわけにはいかなかった。
「だから今週は頑張って、彼にボーナスをあげたいんです」。
大会初勝利で6年ぶりのツアー9勝なら、何よりの餞別になる。
「そうなったら本当に、いいですけれど」。
先月には、7月の九州豪雨災害のチャリティオークションを実施。2週後は、被災3自治体に、自ら出向いてその収益を届けにいく予定だ。
気は優しくて力持ち。
誰かのためなら、いつも倍の力を出すのが孔明だ。