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日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ Shishido Hills 2021
歴代覇者のコースセッター。髙橋竜彦は「宍戸から、世界に羽ばたくお手伝い」
最終日は、永久シードの中嶋常幸との直接対決で圧勝。自身のツアー2勝目を飾って5年シードを獲得した。
ここ数年は、大会の出場も遠のいているが、「この選手権で勝てたことは、自分のゴルフ人生の証です」と話す髙橋に、重責が舞い込んだのは今年。
プロ24年の経験と人柄を買われて、JGTOからコースセッティングアドバイザーのオファーを受けた。
「名誉職をいただいたと思っています」と、謹んで引き受けた。
今年の開幕戦「東建ホームメイトカップ」で初仕事をつとめてから、今週の日本タイトル戦で2戦目となる。
「プレッシャーは凄くあります。ここで優勝させていただいたといってももう15年も前の話です。当時からコースも凄く変わっていますし、距離も長くなっています。経験を活かすと簡単にいえる状況ではないですが、本当に良いショットには、良いご褒美がつくような、フェアな展開を目指したい」。
同じく今年から、ツアーディレクターに就任したツアー1勝の田島創志(たじま・そうし)と共に、最強選手決定戦の舞台作りに邁進する。
コロナ禍による中止を経て、2年ぶりの開催となるが、どんな状況にあってもコースの方々のかわらぬご尽力とご努力により、練習ラウンドを済ませた出場選手たちの口からは「大会史上最高の仕上がり」との賞賛の声が、あちこちで聞こえる。
開幕前から、グリーンの速度を示す数値は、早くも13フィートを記録。
それでいて、適度な硬さを保ち、「フェアウェイから打ったショットは、きちんとチャンスに止まってくれる。ただただ、難しいだけでなくて、ボギーと同じ数だけバーディも出る。本戦ではそういうスリリングな展開が、期待できるのではないか」と、髙橋は期待を寄せる。
「天候にもよりますが、優勝スコアは10アンダー前後を想定しています」。
ちなみに、15年前の髙橋のVスコアは、2位と3打差の通算7アンダーだった。
その週、好調だったショットは最終日も、フェアウェイを外したのは1ホールだけだった。
2位と4打差をつけて入った最終ホールで、再びティショットがフェアウェイを捉えた瞬間、同組の中嶋から「おめでとう」と、声をかけられた時は感動で、体が震えた。
「選手権で勝つことが、ずっと夢でしたので。俺って幸せだ、と。特に、中嶋さんと争って勝てたことは、今でも誇りです」という髙橋。
「選手権は、若い選手にこそ目指して欲しいタイトル。本戦に入っても、ピン位置の設定など緊張の毎日ですが、ここから世界に羽ばたいていくお手伝いができれば嬉しい」。
今度は支える立場で、新たな歴史を紡いでいく。