「昨日は本当にぜんぜんダメで。動かなくて」と、苦笑をしたが、初日はそれでも3アンダーの16位タイと、上々のスタートを切っている。
「いや、もう僕なんか…。まったくですよ」と、ため息をつくクラブハウスの窓越しに、シニア目前の永久シード選手が通り過ぎていった。
「ほら…あんな凄い人がいるから。あの人は本当に凄い人」と、片山晋呉の姿を目で追いつつ「あと宮本(勝昌)さんとか、谷口(徹)さんも」と、すでにシニアの面々の名前も次々と挙げて、「みなさんレギュラーでもあんなに頑張っている。バケモノですよ!」と感嘆し、「あの人たちを励みに僕もなんとか頑張っている」と、どうにか気持ちをつなぎとめている。
リーダーボードには今週も20代がひしめく。
「本当に一気に進んだよね」と、若手の台頭は脅威だが、「下を見出すとどこまでも落ちていく。せめて上見て」と、懸命に気力を保つ。
ジュニア期から活躍して2000年にプロ転向し、切れ味のショットで2001年からシード権を続けてきたが、40歳の2017年に陥落。
しばらく出入りが続いたが、コロナ禍の20ー21年に復活をとげると今季は「ゴルフパートナー PRO-AM トーナメント」で2位タイなどトップ10入りが2回。
獲得賞金は1700万円に到達し、賞金ランク37位で2年連続の当確ランプを灯している。
ただ、「来年はまたどうなるか…」と、先を見やると萎えそうになる。
「先輩たちに聞くと『シニアに向けて…』なんていう。でも僕は、まだあと5年もあって。5年後にはどうなってるかもわからないのに、と思うと何をモチベーションに?というのが正直なところ」と、悩みを吐きつつ今週も19位タイでしっかりと予選を突破。
「どうにか頑張ります」。
ベテランの歴代覇者が、週末にむかって懸命に気合いを入れた。