3日目土曜日の前半9ホールは奪い合いの中2アンダーにとどまり「このまま我慢のゴルフになるのか」との懸念もよぎったが、焦らず反撃のチャンスを待つことはできていた。
その甲斐があったと実感できたのは、後半に入ってすぐ。
12番のパー4で、120ヤードの第2打を56度で沈めるショットインイーグルを奪うと、今度は15番のパー5で、4アイアンの2打目を2メートル半にくっつけ1日2個目のイーグル奪取。
一気に首位を捉えると、さらに16番から連続バーディで、単独首位へ。
「後半中盤からポポンときて、勢いに乗れた」と、冷静にうなずいた。
2打差の2位で控える現在賞金1位の平田憲聖(ひらた・けんせい)は、5月の「関西オープン」でも最終日最終組で共に回った。
今季3勝の昨今の平田の勢いに、「あの時は負けてしまって…」と一瞬、平田が勝ったみたいな錯覚が起きたが、優勝したのは幡地隆寛(はたぢ・たかひろ)で、当時は清水も平田も伸ばし切れずに2人とも敗れている。
あれから季節は移ろい、この夏の平田の破竹の勢いは、言うまでもない。
「憲聖(けんせい)は、ティショットも曲がらず安定しているし、アイアンはピンを刺すし、パットもうまい。すべてのレベルが高く、ピンチになってもボギーを打たない」と、隙がない。
でもだからこそ「憲聖(けんせい)に勝って初優勝ができればより自信になる」と、清水は疑わない。
清水は日大で、平田は大阪学院大の出身。
強豪校同士、大学時から互いを知るが、今のように親しく話したり、食事をしたりするようになったのは、プロ転向してからだそうだ。
2つ下の平田は「大成(たいせい)さんにいつもよくしてもらってます」と、感謝していた。
でも、「試合になったら、そこは勝負」と平田も言ったとおりに、清水も手を緩める気はない。
なんとしても、今ここで初Vを獲りたい理由がある。
日本予選をプレーオフで突破して、初メジャーを経験した「全米オープン」で、1打足りずに予選敗退してますます高まったのはPGAツアーへの思い。
次週の「バンテリン東海クラシック」終了時点の賞金ランク5位内の選手にはセカンドステージからの受験資格が発生する。
現在の賞金ランキングは11位。
「今年、ぜったい挑戦したいと思って。そのためには優勝するしかチャンスがない。かなり気合が入っています」と、熱い闘志を秘めている。
屈指の飛ばし屋だが、「全米オープン」で痛感させられたのも、ショットよりパットの重要性。
現在、部門別の平均パット1位を走るが、「乗せても入らなければ伸ばせない」と、ランキングにも奢ることなく今週は、構えの部分に修正を加えるなど、今もパット練習に注力し、磨きをかけ続けている。
最終日最終組は、あすで自身2度目だ。
「前回はどこか焦りがあってパットが決め切れなかったことがあったので。きょうみたいに落ち着いて、自分の流れが来るのを待つというのも必要かな、と思っています」。
積み重ねてきた悔しい経験を、今度こそ示すときだ。