Tournament article
フジサンケイクラシック 1999
1日目首位の佐々木久行
さあ、これから、というときに、佐々木の行く手をはばんだのは、左手首に出来たガングリオン(骨の間に出来る脂肪の塊)。
ショットのたびに強烈な痛みが走る。鎮痛剤を打ちながら、だましだましプレーしてきたが、とうとうこらえきれなくなった97年オフ。手術を決心、戦線離脱した。
昨年のダンロップフェニックスで一応はツアー復帰したものの、傷跡が寒さに耐えきれず、鈍痛が走り、とてもゴルフにならかったという。
「完全復帰は今年からだと思っています」と佐々木。
それも開幕3戦くらいは試合勘が戻らず、予選落ちが続いた。
「もったいないボギーとかたくさんやっちゃってた」。
しかし焦る素振りは見せなかった。
「リハビリのつもりでのんびりやっていく。5月ぐらいから調子を取り戻せればいい」と、マイペースで自分のゴルフが戻って来るを待っていた。
一時期、スイングやゴルフのことなどで、考え込んだこともあった。
だが、いまはそれもやめた。
「上げて下ろす。シンプルに、気楽に。以前の自分のやり方で、行こうと決めたんです」。
この日は16番ロングホールで、残り191ヤードの第2打を5番アイアンで20メートルに乗せ、イーグルを奪うなど6アンダー、65。しかも、ノーボギーという取りこぼしのないゴルフで単独首位に、「ほんと嬉しいよ、久々だよ」と、しみじみと噛み締めていた。
辛抱強く、待った甲斐があった。自ら打ちたてた、
『5月復活』のもくろみは、かなうだろうか。